『セクシー田中さん』事件に関するメモ(改稿中)

【改稿中】
一度書いたのですが、書き直すことにしました。
部分的に、内容を残しておきます。


 契約成立の認識

2023年月29日のオンライン会議で「小学館から、他局からのドラマ化の話を断ったことが説明され」(日本テレビ報告書)、日本テレビ側は許諾契約が成立したと認識しました。
それに対し小学館は、「あくまでも他局の企画案をペンディングして、具体的な条件を詰めていこうという打診に過ぎないということであり、正式に許諾したのは同年 6 月 10 日である」(同上)としています。

たとえば、オプション契約 → 許諾契約という流れの場合は、オプション契約の段階で他社を外して一対一の交渉になるので、他局の話を断ったというだけでは許諾契約成立と断言できません。

『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』ドラマ化では、NHKは「 11.15 Y→X、ドラマ化に向けた作業を進めて良いと電話」(IPPG150806.pdf)を許諾契約成立と認識したようです。
それに対し、 講談社は「映像化許諾交渉を行う合意がされたにすぎないのであり、映像化を許諾するものではない」(『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』映像化契約解除事件)と主張しています。
東京地裁も映像化許諾契約の成立を認めていません。


 契約書案の放置

小学館報告書によると、契約書案のやり取りは次のようになっています。

7月27日(28日?) 契約書案(小学館) 改変について小学館と原作者双方の同意が必要
9月26日(27日?) 修正案(日本テレビ) 合意相手を小学館に限定
10月23日 修正案(小学館) 小学館を介して原作者の承諾を得ることに修正
「なお、放送終了までに日本テレビから戻しはなかった。」

日本テレビ報告書では、具体的な内容に触れずにあっさりした記述になっています。
「同年 7 月28 日に小学館から契約書ドラフトが日本テレビに届き、契約書内容が過去作品から大幅な変更があり、検討に時間を要したため、日本テレビの回答は同年 9 月 27 日であった。結果的に、放送前には締結に至らなかった。」

小学館による修正案に納得できなかったためか、日本テレビは契約書案を放置しています。
放置したからと言って、原作者の権利が消えるわけではないのですが。

『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』ドラマ化では、NHKの対応は次のようなものでした。
「脚本確認条項は、編集権に関する介入であると判断し、契約書案についての検討結果を回答しなかった」(IPPG150806.pdf


 改変内容

短大進学の件については多くの人が語っているので、次の件を書きます。
「第 6 話では、予算の関係で進吾及び小西が 2 人で飲む店をサバランに変更したい旨の提案が制作サイドからなされたが、本件原作者は、「予算の関係で、進吾&小西が 2 人で飲む店をサバランに変えたい件は、絶対 NG です」と指摘したため、2 人が飲む店をサバランに変更するという提案は実行されていない。」(日本テレビ報告書p.80(pdf.86))

2人が飲むことに対し朱里ちゃんがキレてるので、朱里ちゃん行きつけの店であるSabalanで飲むのはまずいのです。
積極的に変えたいのではなく予算の都合だというのはわかるんですが、キャラの心情的に不自然になってしまいます。

 

b8270.hateblo.jp

 

原作改変:『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』事件


2015年、『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』ドラマ化の裁判で、NHKが敗訴したことが話題になりました。
そのとき色々と調べて、『やわらかい生活』事件やハリウッドの事情など、原作改変に関する情報を紹介しました。
あれから9年ほどがたちますが、業界の問題点は残ったままで、最悪の事件まで起こってしまいました。

今回改めて原作改変問題について調べなおし、『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』事件、『やわらかい生活』事件、原作改変問題全般、の3回に分けて、情報をまとめてみたいと思います。
ただし、わたしは法律に関しては素人なので、そのことを念頭にお読みください。


 事件の概要

『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』事件とは、
NHKが辻村深月氏の小説『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』のドラマ化を企画
脚本が原作者側の承認を得られず制作中止
NHKは約6000万円の損害賠償を求めて、原作者から管理委託を受けていた講談社を提訴
東京地裁は映像化許諾契約の成立を認めず、NHK敗訴
という事件です。

時系列に沿った細かな流れは、「IPPG150806.pdf」に載っています。
ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。 - Wikipedia」の「幻のテレビドラマ化」の項は簡潔で分かりやすいのですが、次の部分は注意が必要です。
「同年11月15日 - 講談社が口頭で許諾の意思を示す」とありますが、
講談社は、「映像化許諾交渉を行う合意がされたにすぎないのであり、映像化を許諾するものではない」(「『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』映像化契約解除事件」)と主張しています。
東京地裁も映像化許諾契約の成立を認めていません。


 主な資料

講談社見解: 『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』に関してNHKより提訴された裁判に対する講談社の見解
判決紹介1: IPPG150806.pdf
判決紹介2: 『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』映像化契約解除事件

残念ながら判決文は判例集未登載のようなので、この3件が簡単に見れる主な資料です。
上から順番に読んでいくとわかりやすいと思います。


 報道

サイゾー記事(2012.4.18): NHKが講談社に激怒!長澤まさみ主演ドラマをめぐる”原作モノ”の罠
 有料部分は未読ですが、無料部分では、ドラマの「制作関係者」などの発言を紹介。
読売記事(2012.6.21): ドラマ許諾を撮影直前撤回…NHKが講談社提訴
MSN産経記事: NHKが講談社を提訴 辻村深月さんの小説ドラマ化でトラブル 東京地裁
日経記事(2012.6.21): NHKが講談社を提訴 小説のドラマ化巡り
サンスポ記事(2012.6.22): 前代未聞!長澤主演ドラマ、撮影直前に白紙
J-CASTテレビウォッチ記事(2012.6.22): 長澤まさみドラマ制作中止でNHKが講談社提訴
日経トレンディネット記事(2012.9.3 『日経エンタテインメント!』2012年9月号記事転載): 消えた辻村深月原作ドラマ――NHKと講談社が訴訟騒動に
朝日記事(2015.4.28): NHKの訴え棄却 原作のドラマ化契約解除巡り東京地裁
NHK記事(2015.12.24): ドラマ制作巡る裁判 NHKと講談社が和解
千葉日報記事(2015.12.24): 辻村深月さん小説の訴訟で和解 NHKと講談社
四国新聞記事(2015.12.24): 辻村深月さん小説の訴訟で和解/NHKと講談社
 千葉日報や四国新聞の記事は、共同通信配信記事かもしれません。


 その他の資料

大森寿美男「脚色の意志と原作者の意向」(『原作と同じじゃなきゃダメですか?』 発行:シナリオ作家協会 2013年)
 『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』脚本家の寄稿。『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』の名は出ていませんが、それらしき記述あり。時期は地裁判決より前。

トークショーレポート(2016.4.3): 中島丈博 × 浅田次郎 × 杉田成道 × 内山聖子 × 十川誠志 × 林宏司 × 鈴木宣幸 トークショー レポート(3) - 私の中の見えない炎
  講談社の鈴木宣幸氏の関連発言あり。時期は地裁判決を経た和解後。
 レポート(1)によれば、「以下のレポはメモと怪しい記憶頼りですので、実際と異なる言い回しや整理してしまっている部分もございます。ご了承ください」とのこと。


 契約書案

判決紹介1によれば、契約関係は次のような流れになっています(XはNHK、Yは講談社)。

「11.15 Y→X、ドラマ化に向けた作業を進めて良いと電話」
「12.22 XY、脚本打ち合わせ、Y→X、映像化許諾契約書案送付」
「原告は、脚本確認条項は、編集権に関する介入であると判断し、契約書案についての検討結果を回答しなかった。」

NHKは、2011年11月15日の電話で、映像化許諾契約が成立したと受け取ったようです。
その後、12月22日に講談社から映像化許諾契約書案が送付されています。
内容は次のようなものです(判決紹介2より引用)。

「 (ア)Xは、本件映像作品のプロット及び脚本を直ちにYに提出し、Yの確認及び承認を経て本件映像作品の制作を開始するものとする(12条1項)。
(イ)Yは、前記(ア)の本件映像作品のプロット及び脚本の確認において、Xに対し、合理的な事由がある場合、上記プロット及び脚本の修正を求めることができる(同条2項)。
(ウ)Xは、前記(ア)の承認が得られない場合、本件映像作品の制作を開始することができない(同条3項)。」

契約成立(というNHKの認識)より契約書案があとになっているのは、
「契約書は制作や放送が終了してから日付を遡らせて作成されることも多く、」(NHKの主張(判決紹介2))という事情です。

東京地裁は映像化許諾契約の成立自体を認めていませんが、
仮に11月15日に契約が成立したとしても、12月22日の契約書案の内容であれば、原作者側の脚本承認なしに制作を開始することはできません。

NHKが「脚本確認条項は、編集権に関する介入であると判断し、契約書案についての検討結果を回答しなかった」(判決紹介1)のは不思議です。
常識的に考えれば、受け入れられない契約書案である場合にこそ、変更を求めて交渉に入る必要があるはずです。

『エンタテインメント法実務』掲載のコラム「契約の話~初心者向け実践的アドバイス~」(唐津真美)には、次のように書かれています。

「契約が口頭でも成立するということは、「契約書にサインしなければ安心」とはいえないことも意味する。」
「ビジネスを始めたということは、両当事者の間に何らかの合意があるはずであり、その中身に関して客観的に存在するのは未署名の契約書だけという状況においては、「契約書が提示され、その後その相手とビジネスを始めたということは、契約内容について同意が成立したことの証である」という理屈が成り立つ余地があるのだ。」

ということは、講談社の契約書案に不満があったのにもかかわらず回答しなかったのは、NHKにとって不利なのではないかと思われます。


 契約の種類

契約内容のほかに、契約の種類の問題もあります。
11月15日に口頭で何らかの契約が結ばれたとしても、映像化許諾契約ではない可能性があるからです。

講談社側は次のように述べています。
「映像化許諾交渉を行う合意がされたにすぎないのであり、映像化を許諾するものではない」(判決紹介2)
「電話しまして、口約束だけど脚本の開発がOKで、映像化全体の許諾をしたわけではないです」(トークショーレポート)

別の事件での例を挙げると、映画『やわらかい生活』では、
「著作権使用予約完結権契約書」→「原作使用許諾契約書」
という契約の流れななっています(予約完結権契約とは、オプション契約と同じものだと思われます)。

原作者側は『やわらかい生活』裁判の被告準備書面(1)で、
「予約完結権契約しか結んでいなくて本契約(原作使用許諾契約)を結ばないうちに撮影日程を無断で決めてしまうのは、映画製作者側の勇み足であり、本来は認められないことなのであるが」
と述べています。


 口頭での契約

「口頭による合意をもって契約を成立させることが業界慣行として行われており、」(NHKの主張(判決紹介2))

「NHK側は「口頭での合意が正式契約であることは、業界での慣習。講談社はドラマ完成のための努力を放棄した」と主張。」(読売記事)

NHKは 「両社間で契約書は作成されていなかったが、テレビドラマの制作では番組完成後に契約書を作成する慣行があると指摘し、「担当者間の口頭の了承があり、契約は成立している」と主張。」(MSN産経記事)

「NHKは「業界の慣習では、口頭でも契約は成立する」と主張。」(日経記事)

業界慣習を持ち出さなくとも、日本の法律で口頭でも契約が成り立つというのはその通りです。
「 第五百二十二条 2 契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。」(民法)

不思議なのは、日本の映像業界は改変をしたがるのにもかかわらず、事前の契約書作りに消極的なことです。

ハリウッドも改変をしたがるのは同じですが、契約書を重視している点が違います(法律の違いもあるようですが)。
改変を行うのであれば、改変のできる契約書を事前に交わしておくほうが自然なやり方だと思います。


 契約書の日付

「映像作品の放映後に契約締結日をバックデートして契約が締結されることが多かった。」(判決紹介1)

「契約書は制作や放送が終了してから日付を遡らせて作成されることも多く、」(NHKの主張(判決紹介2))

「XとYとの間の映像化許諾契約に係る契約書は、映像作品の制作が終了した後に作成され、又は終了後も作成されないことが常態化していたものであるが、」(判決紹介2)

「そもそも、正式な“契約書”を交わすのは撮影が始まって以降、といったことが慣例となっているドラマ業界。」(サイゾー記事)

NHKは 「両社間で契約書は作成されていなかったが、テレビドラマの制作では番組完成後に契約書を作成する慣行があると指摘し、「担当者間の口頭の了承があり、契約は成立している」と主張。」(MSN産経記事)

このような契約の仕方が行われているので、原作者が納得していない状態で強引に制作が進められても、契約書の日付を遡らせることで、最初から合意の契約のもとに進んでいたような形になってしまいます。


 契約前の制作開始

「原作使用許諾契約の締結前に映像作品の制作が開始されることは実務では珍しくないが、」(判決紹介1のコメント)

契約前または契約内容が確定していない状況で出演者のスケジュールまで押さえてしまうことで、後に引けなくなって制作を強行してしまう問題があるようです。


 「半分程度は」との主張

「「訴状には、脚本家が考えた変更点のうち半分程度は原作者に納得してもらうのが映像業界の常識だとか、こちらの感覚では理解しがたいことがさらりと書かれています。」(日経トレンディネット記事の講談社編集部発言)

「NHKは、訴状で「脚本家が最初に考えた原作の変更点のうち、半分程度は脚色の必要性を説明することで原作者に納得してもらい、残りの半分程度は原作者の意向を優先して脚本家が脚本を書き直すというのがテレビ業界では一般的」と説明。」(朝日記事)

この主張や放送後の契約書作成に関する主張は、納得はできないものの、法廷戦術とはそのようなものだろうなとは思います。
それにくらべると、「検閲」発言は不可解です。


 「検閲」発言と契約書案後の流れ

「裁判のなかで、証人に立ったNHK幹部は、脚本の確認について、「放送局として、我々が作る編集内容に関して第三者が口を出せるということを認めてしまうこと自体が認められない。ほとんど検閲に当たります」と述べました。」(講談社見解)

「NHKの担当者は「放送局として我々が作る編集内容に関して第三者が口を出せることを認めてしまうこと自体がほとんど検閲にあたる」と証人尋問で訴えた。」(朝日記事)

「原告は、脚本確認条項は、編集権に関する介入であると判断し、契約書案についての検討結果を回答しなかった。」(判決紹介1)

原作者側は、不本意な改変を認めない立場でした。
12月22日には、脚本確認条項のある契約書案が送られました。

NHKが譲歩するつもりがあるのであれば、話を進める意味はあります。
しかし、脚本確認条項が「編集権に関する介入」であり「ほとんど検閲」なのであれば、NHKにとっては絶対に認められないことのはずです。
根本的なところで折り合えないのですから、企画をボツにするしかありません。
しかしNHKは、契約書案についての検討結果を回答せずに交渉を続けました。

判決紹介1によれば、その後の流れは次のようになっています(XはNHK、Yは講談社)。
「1.24 Y→X、第 1 話、第 2 話のコメントは第 3 話、第 4 話を見てからと返事。
X、Yの質問に対し、撮影開始は 2 月 6 日予定と回答
1.25 X→Y、第 3 話、第 4 話の準備稿送付」

講談社は次のように述べています(講談社見解)。
「原作がどのように脚色されるのかを把握するため、弊社は再三、NHKに対し全四話の
プロットを見せて頂きたいとお願いしましたが、それは叶えられず、クランクイン予定日
の2週間前になって、ようやく全四話までの準備稿が届けられました。」
「NHKは自らの一方的な判断で制作準備を進め、クランクイン予定日を設定していまし
た。」


 和解

地裁判決後NHKは控訴しましたが、2015年12月24日に和解が成立しました。

「NHKと講談社は「本件では、第1審でNHKの請求が棄却されました。今回、東京高等裁判所の和解勧告に基づき、第1審判決を前提として、紛争の早期解決のため和解に至りました」というコメントを出しました。」(NHK記事)

「講談社によると、和解条件を明らかにしないことで両者が合意した。」(千葉日報・四国新聞記事)

「講談社は24日、NHKとの連名として「東京高裁の和解勧告に基づき、一審判決を前提として紛争の早期解決のため和解に至った」とコメントした。」(四国新聞記事。千葉日報記事は同文だが英数字が全角)

和解条件は明らかになっていませんが、NHKが敗訴した「第1審判決を前提として」ということなので、講談社に有利な和解条件なのではないかと思われます。


 改変内容

第1話の脚本には、「原作にはない主人公が実家に立ち寄るシーン」(判決紹介1)がありました。

『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』は、母と娘の確執を描いています。

主人公は、故郷の山梨に帰ってもビジネスホテルに泊まり、母親には帰郷を秘密にし、夫にも口止めをしています。
「戻ってきたことがバレたのだろうか。」とか「両親の知り合いに姿を見られたら、その瞬間にアウトだ。」とか思うほどの緊張した状態です。
母親とは会わないという強い意志が感じられます。

それなのに第1話でいきなり実家に立ち寄らせることは大きな改変ですし、後半の展開にも影響してきます。

母親と会いたがらないのは確執があるからです。
主人公が学生のころ衝撃を受ける出来事がありましたが(文庫の 361-365ページ)、脚本ではこの部分がカットされていたそうです(サンスポ記事とJ-CASTテレビウォッチ記事)。確執の原因も削られていたのです。

 

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『セクシー田中さん』事件での日本テレビの説明がわかりにくい件


セクシー田中さん|日本テレビ
こちらのページに、次のような説明があります。
「最終的に許諾をいただけた脚本を決定原稿とし、放送しております」

原作者の芦原妃名子さんの説明によれば、ドラマ『セクシー田中さん』の問題は、原作者が大幅改変は許諾していないのに大幅改変が行われようとしたことです。
脚本は芦原さんにより問題点が修正されたので、大幅改変は未遂です。
決定原稿は原作者本人の修正を経て出来上がっているので、原作者から見てOKなのは当然のことです。
日本テレビの説明は、初期段階のプロットや脚本の問題に触れずに、決定原稿に関して「許諾」という(嘘ではないがやや不自然な)言葉を使うことで、許諾関係で問題がなかったかのような印象を与える文章になっています。

【会見詳報】日テレ社長「極めて厳粛に受け止め」◆契約書はどうなっていた?「セクシー田中さん」問題:時事ドットコム

日本テレビの記者会見では、この件に関して次のようなやり取りがありました。

「  ー死去当日に日本テレビから出されたコメントの中では、「最終的に許諾をいただけた原稿」を前提に放送されているとあった。これは、この時点でどういう根拠があって発信したのか。

 福田専務:根拠があるので、あのような申し上げ方になった。

 石沢社長:私も冒頭で申し上げた通り、しっかり公表できることについてHPでご報告申し上げたということですので、報告できる話として公表しております。」

この質問は、日本テレビによる表現に引きずられています。
すでに述べたように、決定原稿がOKなのは当然のことで、問題なのはそれ以前の部分です。
そして、それに対する回答も、嘘ではないが不自然なものになっています。



最後になりますが、芦原妃名子さんのご冥福を心よりお祈りいたします。

 

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ドラマ『セクシー田中さん』は、原作準拠で良い出来でした


ドラマ『セクシー田中さん』の感想はそのうち書こうと思ってたんですが、騒ぎによって誤解を受けているようなので、今回はその点について。

騒ぎはこちら。

ashihara-hina.jugem.jp

原作者の芦原妃名子氏は、
「これらの条件は脚本家さんや監督さんなどドラマの制作スタッフの皆様に対して大変失礼な条件だということは理解していましたので」
と遠慮気味に書いていらっしゃいますが、業界の慣習はともかくとして、法的には当然の権利です。

原作改変と原作者については、以前こちらの記事で書きました。

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誤解している人がいるのは次の点です。

1.ドラマ版は原作から大幅に改変されている(からダメだ)

ドラマ版は大幅に改変されているから観ないというようなことを言っている人がいますが、それは誤解です。
ドラマが面白かったので、原作はどんな感じなんだろうと気になって読んでみたんですが、キャラクターの性格付けもストーリーも印象的なセリフも、予想していた以上に原作準拠で驚きました。
原作者の説明によれば、大幅に改変されそうになったのを、原作者が修正して原作寄りにしたそうです。つまり、大幅改変は未遂です。
ドラマ版の魅力として演者の好演がありますが、メインキャラに関して言えば、(外見は別として)演者の個性で上書きするのではなく、原作キャラの土台の上にキャラが出来上がっているように感じました。

また、ドラマ終了のころは次のような誤解も結構あったようです。

2.ドラマ版は原作から大幅に改変されている(から素晴らしい)

8話までの脚本は脚本家名義、9・10話の脚本は原作者名義になっています。
それに加え脚本家のインスタでの発言もあり、8話までが好きで9・10話が嫌いな人の中に、脚本家を高く評価して原作者を非難している人がいます。
でも、9・10話の評価はともかくとして、8話までも(原作者による修正の結果)原作の要素が強いんですよね。なのに原作者が8話までのファンから非難されているのです。


最後に。
確かに脚本家のインスタでの発言は原作者に対してトゲのある物言いだと感じました。
しかし、『セクシー田中さん』は、「びっくりするくらい無神経」な人であっても悪い人とは限らないし、そういう人とも心が通じ合うこともあるというような内容の作品なので、普段より広い心で推移を見守ろうと思います。朱里ちゃんだって「笙野殺す!」とか言わなくなったことだし。

味覇の中身が変わる件は、どのように報じられたか


【報告】ねとらぼを退職しました(&この10年でやってきたこと振り返り)|てっけん|note
この記事で触れられている2015年の味覇の件が懐かしかったので、報道の推移を紹介します(当時も書いたのですが新記事にしてみました)。

2月9日 ツイッター
ツイッターでは、報道が始まる前からぽつりぽつりと情報が出ています。
その中でも古いのは次のツイート。この件をツイートするためだけに作られたと思われるアカウントによるものです。
https://twitter.com/Bak_BC/status/564729589402849280
https://twitter.com/Bak_BC/status/564737830467801090

3月11日 2ちゃんねる
味覇(ウェイパー) 味覇(ウェイパー)4匙目」の20
「確実に味が変わる」と書かれています。

3月20日 WooRis(ウーリス)
[アーカイブ] コレだけで本格料理人!家族から「美味しい」と言われる料理の裏ワザとは
タイトルでは味覇の名前は挙げられていません。まず一般的な料理の話があり、次に味覇が紹介されています。
そして最後に、「ところで」という言葉に続けて、中身が変わることが書かれています。

3月26日 アサ芸プラス
タモリも愛用する隠し味「入れるだけで料理が旨くなる」魔法の調味料とは?
こちらの記事でもタイトルでは味覇の名前は挙げられていません。中盤の「ところが」以降の部分で中身が変わることが書かれています。

3月27日 nikkanCare.ism(ニッカンケアイズム)
[アーカイブ] 「味覇」は中身が変わる!? 男の料理に絶対抑えておくべき調味料3つ
味覇を含む「調味料3つ」について語ったあとの最後の部分で、「ところが」という言葉に続けて、味覇の中身が変わることにふれています。

3月30日 IRORIO(イロリオ)
[アーカイブ] 「味覇」の中身が変わる!創味食品「会社同士のトラブル、申し訳ない」
「今回は創味食品側のみにお話を伺ったが」とのこと。

3月31日 ねとらぼ
人気調味料「味覇(ウェイパァー)」の中身が変わる? 製造元との契約トラブル原因 食い違う両社の見解
双方に取材。

統一教会関連メモ

『私のみた勝共運動』に見る、勝共連合(統一教会系)の各界への浸透
1978年国会での統一教会関連質疑
統一教会と学生新聞

統一教会に関するメモ程度の情報は、この記事に追記していく予定です。

NHK英語でしゃべらナイト』に『ワシントン・タイムズ』が登場(2006年)。
(しゃべらナイトinワシントンDC)
「在米日本大使館からの依頼を受けて」とのこと。

NHKでは、『100分 de 名著』の番組セット本棚に文鮮明の自叙伝『平和を愛する世界人として』が置かれていたということもありました(2013-2014年頃)。
https://b.hatena.ne.jp/entry/s/twitter.com/sallymalachite/status/1549508744392110080
上記ブックマークコメントで紹介されていた鈴木エイト氏の記事。
やや日刊カルト新聞 NHKの番組セットに統一教会(家庭連合)教祖の自叙伝が陳列
記事によると、問い合わせに対しNHKは「比較的安価な古本を大量に調達しセットとしました」と回答。
その可能性は高いとは思いますが、「信者の間でも話題となっていた」ぐらいなのに、NHKが1年以上も放置していたのは気が付かなさすぎです。

『平和を愛する世界人として』という本は、武雄市図書館の購入資料一覧にもありました。
武雄市図書館にTSUTAYAの在庫が押しつけられる? - Togetter
[武雄市教育委員会] H27-07-13 武市教生第66号 初期蔵書入れ替え費で購入された資料一覧_1.pdf - Google ドライブ
このリストのNo.897と898の2冊です。
当時指摘して、たくさんはてなスターをいただきました。

武雄市図書館にTSUTAYAの在庫が押しつけられる - Togetterまとめ @shop_TSUTAYA

コメント欄にも書いたけど、文鮮明の本まである。

2015/08/08 21:56

多分この件も、安い古本を大量にかき集めた中に混じっていたということでしょう。
たとえば新興宗教の資料という意味ならば、この本が図書館にあってもよいとは思いますが、単なるチェック漏れの可能性が高そうです。


去年(2021年)書いた統一教会に関する記事は、うまく書けていないし今年書いた記事とダブっているところもあるので消しました。あとで部分的にこのページに転記するかもしれません。

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統一教会と学生新聞


統一教会が話題になり、統一教会系の学生新聞も話題になっています。
しかし、統一教会系の学生新聞に関するまとまった情報は意外と少ないので、調べたことを簡単にまとめておきます。

原理研究会
原理研究会 - Wikipedia(学生新聞のリストがあります)
大学で活動する統一教会系サークル。形式としては、統一教会統一教会系学生新聞とは別組織になっているようです。
英語名「Collegiate Association for the Research of Principles」の略称はCARP。

【全国学生新聞会連合(全新連)】
統一教会系の学生新聞全国組織。形式としては、統一教会原理研究会とは別組織になっているようです。
『追及ルポ 原理運動』の記事によれば、全新連加盟新聞の中には、統一教会原理研究会のメンバーが中心ではないところもあるようです。
全新連加盟新聞を数紙見たところ、サークル紹介や映画案内など当たり障りない記事も多いものの、広告欄に統一教会系出版物があったり、所々に統一教会色が見られます。
全新連は10年以上前に解散しているという情報がありますが、詳しいことは不明です。

京都大学新聞社/Kyoto University Press » 原理研究会・京大学生新聞にご注意

臼井敏男「正体不明の「学生新聞」が狙うもの」
(朝日ブックレット49『追及ルポ 原理運動』 朝日ジャーナル編 朝日新聞社 1985年)

いくつもの全新連加盟新聞から取材拒否される中、『中央キャンパス』は取材に対し次のように語っています。原理研メンバーの割合が少ないのは、全新連加盟新聞の中では少数派かもしれません。
「編集部の二割ほどは原理研のメンバー。かれらが、こんな記事を載せてくれ、ということはあるが、編集権は新聞の側にある。われわれ保守的な立場は、マルクス主義よりも原理研の思想に近くなる。従って、原理研とは同じではないが、色が出ざるをえないところはある」

統一教会その20 学生新聞をやっていた頃の思い出 - 我慢をやめる生き方へ
統一教会系学生新聞編集の体験記。
「科目等履修生になって一般学生のふりをして新聞を作っていました」などと赤裸々に語られています。

https://twitter.com/DonMatz1959/status/1549530896713547777
学生新聞での金儲けと個人情報保護法について。

あと10年をポジティブに生きる記録 統一教会・徳野英治会長-記者会見の問題点① - 米本和広ブログ
コメント欄に、2009年2月に全新連が解散したという情報があります。

複数の学生新聞の関係について、大阪大学筑波大学ではややこしい感じになっているので、関連情報を紹介します。

大阪大学

https://twitter.com/dx0e7uvmI8dXeFY/status/1546223324442726400
https://twitter.com/dx0e7uvmI8dXeFY/status/1549440596791529472
戸田久和氏のツイートなどによれば、
従来の『大阪大学新聞』がつぶれたあと、
1972年、『大阪大学新聞』(全新連加盟)が刊行開始。大学が公認。
1973年か74年に、別の『大阪大学新聞』が刊行開始。
という流れで、二つの『大阪大学新聞』が併存するようになったようです。

大阪大学新聞 (大阪大学新聞会) 1947|書誌詳細|国立国会図書館サーチ
戸田氏が紹介している国会図書館のページでは、従来の『大阪大学新聞』と全新連加盟の『大阪大学新聞』を一体のものとして扱っています。再建1号-再建7号(1973年)のタイトルは『阪大学生新聞』との情報もあります。

全新連加盟じゃない『大阪大学新聞』の記事に、池田和義氏が全新連加盟『大阪大学新聞』の顧問を務めていたことが書かれています。池田氏には、『神と万有と詩の世界 日本民族の心と統一思想』(光言社 1991年)という著作があります。

筑波大学

「○○学生新聞」というタイトルは全新連加盟新聞に多いのですが、『筑波学生新聞』は、そうではない例外の一つです。

1974年 『筑波大学新聞』創刊
1982年 『筑波大学学生新聞』(創刊準備号)→『筑波学生新聞』創刊
1984年 『筑波ジャーナル』(全新連加盟)創刊

[アーカイブ] 創刊の経緯_筑波学生新聞OfficialSite
筑波大学新聞』の学生編集協力者全員が編集作業を辞退し、『筑波学生新聞』が独立するまでの経緯。

筑波學生新聞 創刊号 (筑波大学学生新聞会): 1982-04-07|書誌詳細|国立国会図書館サーチ
記事「創刊にあたって」に、「 一部有志からなる団体に「筑波大学」の名称使用を許すことはできない」という理由で、『筑波大学学生新聞』(創刊準備号)が『筑波学生新聞』になったことが書かれています。

『筑波学生新聞』が統一教会と癒着した筑波大学当局を批判し続けた件|K・Y生|note

福田信之 - Wikipedia
『筑波学生新聞』『筑波ジャーナル』創刊の時期の学長は、福田信之氏です。
ウィキペディア記事には、「学長時代は大学の主要ポストが統一教会系の人脈で占められていたとも言われた」とあります。


b8270.hateblo.jp

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