ツナ缶の起源について調べてみたので、紹介します。
まずはウィキペディア。
シーチキン - Wikipedia
シーチキンの項に「マグロ油漬け缶詰は1903年にアメリカで発明され、たちまち人気商品となった。」とあります。
ほかには次のページが見つかりました。
シーチキンなどの、マグロの油漬の缶詰がいつどこで作られ始めたかわかる本はあるか。マグロの油漬の缶詰が... | レファレンス協同データベース
ツナ缶の起源と歴史~ツナカン
これらのページによれば、世界で初めてツナ缶を作ったというアメリカ人は、A・P・ハーフヒルという人です。ただし前者では1907年、後者では1903年のこととなっています。
参考資料として挙げられている、パトリック・ロバートソン『シェルブック 世界最初事典』は、講談社+α文庫では『雑学・世界なんでもかんでも「最初のこと」』というタイトルのようです(どちらも品切れ)。
ところが、ウィキペディア英語版には次のような記述がありました。
Tuna - Wikipedia, the free encyclopedia
「Canned tuna was first produced in Australia in 1903, quickly becoming popular.」
はたして、起源はアメリカなのかオーストラリアなのか?
さらに調べると、以下のページが見つかりました。
缶詰 - 000077923.pdf
「この原理がマグロ缶詰に応用された時期は定かではありません が、 およそ 1860 年 から 70 年に同じフランスでイワシ油漬缶詰からマグロを用いたといわれています 。」
食彩の王国 第435回『ツナ』
「ツナが缶詰となったのは、19世紀。」
食彩の王国 2012年7月放送分 | 制作番組 | テレビマンユニオン | TV MAN UNION
「欧州で生まれたツナ缶」
Andrew F. Smith『American Tuna: The Rise and Fall of an Improbable Food』
「French canned tuna reached the United States by 1865.」
「Tuna was a high-end product that had been canned in Europe for decades,」
The Oxford Encyclopedia of Food and Drink in America - Andrew Smith, Bruce Kraig - Google ブックス
「Tuna was canned in France and Italy by the nineteenth century.」
TURNING A FISH INTO A BRAND: A CENTURY OF RENT-SEEK ING STRATEGIES IN THE TUNA CANNING INDUSTRY
「the canning of longfin tuna started in the Islands of Yeu in 1866 and Groix in 1873,」
The Origins of California’s High-Seas Tuna Flee
「The canning of tuna, according to most sources, was first introduced to the world by French fish canners in 1850.」
これらの情報から考えると、ツナ缶の起源は19世紀のヨーロッパで、フランスの可能性が高そうです。
ついでに日本のツナ缶史に関するページも紹介します。
シーチキン ニッポン・ロングセラー考 - COMZINE by nttコムウェア
以下のリンク先は、中日新聞(CHUNICHI Web)のページです。
はごろもフーズ 「シーチキン」(上)
はごろもフーズ 「シーチキン」(中)
はごろもフーズ 「シーチキン」(下)
時代を超えて ツナ缶の物語
<1> 戦禍知る 静岡のツナ缶
<2> 学校で作り 米で完売
<3> 初の会社 清水に誕生
<4> 戦時中は1社に統合
<5> 産地包んだ空襲の炎
<6> 輸出再開 順風の船出
<7> 輸出に逆風 各社苦境
<8> シーチキン飛躍の礎
<9> 原料調達 国際化の波
<10> 中近東の富裕層 照準
<11> 市場見据え 自助努力
<番外編> 「商品届ける」一心に
- 作者: Andrew F. Smith
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