これまでに調べたことの簡単なまとめです。
戦前には、「名誉」に対しては、「回復」「恢復」が多く使われています。
「汚名」に対しては、「雪ぐ」のほかに「一掃」や「払拭」など様々な表現が使われています。
「名誉挽回」「汚名返上」「汚名挽回」の、これまでに見つかった古い用例には、次のものがあります。
1934年(昭和9年) 「名譽挽回」(挽の右上は刀) 大阪朝日新聞
1936年(昭和11年) 「汚名を一擧に挽回」 壯年團 - Google ブックス
id:kumiyama-aさんによる復刻版の調査によれば 、「負債村といふ汚名を一擧に挽回すべく、全面的經濟更生に邁進(まいしん)するものであるが、」(第2巻 9号 pp.50-51)とあるそうです(Googleブックスでは文字化けしています)。Googleブックスがスキャンしているのも復刻版だと思われます。
http://b.hatena.ne.jp/kumiyama-a/20130219#bookmark-132937190
1942年(昭和17年) 「汚名挽回」 大東亞戰爭海戰史: 緖戰篇 - Japan. 海軍. 報道部 - Google ブックス
id:kumiyama-aさんの調査によれば「汚名挽回のため小癪にも出撃して來たのだ。」(p.308)とあるそうです(Googleブックスでは文字化けしています)。
http://b.hatena.ne.jp/kumiyama-a/20130220#bookmark-133441254
1948年(昭和23年) 「汚名返上」 国民健康保険小史 - Google ブックス
※ Googleブックスの『国民健康保険小史』は、2007年の復刻版をスキャンしたものと思われます。
「名誉挽回」「汚名返上」「汚名挽回」の三語が多く使われるようになったのは戦後になってからではないかと思います。Googleブックスで大まかに調べた感じでは、「汚名挽回」がじわじわと普及していったのに対し、「汚名返上」「名誉挽回」は1950年代の時点でかなり普及しているようです。この普及時期の差が規範意識の形成に関わっているのかもしれません。