刑事コロンボ「殺人処方箋」旧吹替版収録のブルーレイソフトを買いました


昨年の11月に発売されたブルーレイソフト「刑事コロンボ傑作選 殺人処方箋/死者の身代金」を買いました。ブルーレイ・プレイヤーは持っていないので、自宅では見れないのですが。

刑事コロンボ傑作選 殺人処方箋/死者の身代金 [Blu-ray]

刑事コロンボ傑作選 殺人処方箋/死者の身代金 [Blu-ray]

 


「殺人処方箋」は単発ドラマとして制作された、「刑事コロンボ」の第1作です。
そして、この作品には、次の二種類の吹替があります。
 1972年 NHK 飯嶋永昭訳 犯人役:瑳川哲朗
 1983年 日本テレビ 額田やえ子訳 犯人役:若山弦蔵

旧吹替版は音源も残っておらず幻の状態になっていたのですが、2011年12月に発売された「刑事コロンボ コンプリート ブルーレイBOX」で、ラスト14分の音声が収録されました。
このBOXは、存在する別バージョンの吹替を収録するのみならず新録まで行ったという圧巻の内容です。
ただし、それなりのお値段なので手が出せずに、バラ売りされる日が来るのを待ち望んでいました。

初のバラ売りなのかは知りませんが、今回「傑作選」という形で発売され購入することができました。
ブルーレイ・プレイヤーは持っていないのでDVDの方がよかったのですが、店頭で見比べたところ、DVDの方には旧吹替は収録されていないようです。

「殺人処方箋」については次の記事でネタバレ感想を書いています。

b8270.hateblo.jp

五ェ門はイタリア語がしゃべれるのか?


もうすぐ最終回ですが、『ルパン三世』の新シリーズが放送中です。
今回の舞台はイタリア。そこで気になるのは、五ェ門はイタリア語がしゃべれるのかということです。

原作の五ェ門のことはよく知りませんし、アニメでも作品によって設定は違うでしょうが、五ェ門には外国語ができそうなイメージが無いのです。
『ルパン三世 カリオストロの城』では荷馬車ヒッチハイクをしていましたし、外国生活のスキルは意外と高そうですが。

1978年の『ルパン三世』(ルパンVS複製人間)には次のようなシーンがありました。
ゴードンがスタッキー大統領特別補佐官を紹介すると、五ェ門は次元に「何と言った」と聞いています。
また、手がかりの文字を「読めるか」とも聞いています。
これだけのセリフで断言はできませんが、この作品では、次元は英語ができるが五ェ門はできないという設定のようです。

作中の言語が気になる放映中のアニメには、『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』もあります。
この作品では、作中でどのような言語が話されどのような文字が使われているのかということが、所々で表現されています。
言語面に注目している人も結構いるようで、たとえば次のような考察があります。
赤砂の植民地〈コロニー〉 by ossan_2014 - 機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ(TVアニメ動画)

ついでに、マンガの中の外国語表現の考察ページを紹介します。
マンガの中の外国語: 漫棚通信ブログ版
マンガの中の外国語:「のだめカンタービレ」の場合: 漫棚通信ブログ版

「てんせいくん」情報


需要があるかどうかわかりませんが、こちらで話題になっている「てんせいくん」について調べてみました。


この教科書は「mirai」というタイトルで、次のページにあるサンプルページによれば、1巻に「てんせいくん」のマンガが収録されています。出版されたのは1999年のようです。

Mirai 1 Student Book, 1st, Evans, Meg Et Al | Buy Online at Pearson


てんせいくん収録の1巻ではありませんが、『mirai』の執筆人には早稲田大学の川上郁雄教授もいらっしゃいます。

報告書:川上郁雄研究室-早稲田大学大学院日本語教育研究科GSJAL日研


すでにオーストラリアでは二次創作が行われていました。
次のページではマンガの結末も紹介されています。


英語版ロケットニュースでも記事になっていました。



『ロボ・ジョックス』とモデルアニメ


『パシフィック・リム』がテレビ放映されるということなんで、『ロボ・ジョックス』に関して書いてみます。

『ロボ・ジョックス』がどういう映画かということは、こちらをどうぞ。
ロボ・ジョックス - Wikipedia
Robot Jox - Wikipedia, the free encyclopedia
コマ撮り日記:ロボ・ジョックス
ジャンクハンター吉田の銀幕電脳陛下! : ■『パシフィック・リム』で盛り上がる前に、オマエラは『ロボ・ジョックス』を先に観ておかねばいけないんじゃねえの?
ウィキペディアは英語版の方が充実しているので、誰か翻訳したらいいんじゃないかと思います。

以下は、スチュアート・ゴードン監督が『ロボ・ジョックス』について語っているページなどです。
Full Moon Horror - The T is Silent, Part 1…. Stuart Gordon’s Lab Report
Full Moon Horror - The T is Silent, Part 2…. Stuart Gordon’s Lab Report
The Making of Robot Jox | Chelloveck
Stuart Gordon interview: Re-Animator, Pacific Rim, Fortress | Den of Geek
EXCLUSIVE INTERVIEW: Director Stuart Gordon talks ROBOT JOX and RE-ANIMATOR! |

この映画は、モデルアニメ界の大物であるデイヴィッド・アレンが特撮を担当している割には、モデルアニメの使用が多くありません。
以前は、予算やスケジュールの関係だろうと思っていたのですが、調べてみたらそうではありませんでした。

スチュアート・ゴードン監督の「The T is Silent, Part 2」によれば、デイヴィッド・アレンからの申し出により、太陽光の下で撮影するためにモハーヴェ砂漠で撮影されています。
砂嵐や洪水がおこったりフィルムが溶けたりして、三ヶ月の撮影予定だったのが丸一年かかったそうです。

モデルアニメは撮影に時間がかかるので、太陽という移動する光源の下では行えません。したがって、砂漠での撮影とモデルアニメ撮影が使い分けられています。

太陽光での撮影を高く評価する人もいるとは思いますが、個人的には、もっとモデルアニメでぐりぐり動きまくる『ロボ・ジョックス』を見てみたかった気もします。

ちなみに、「The T is Silent」とは、Tは黙字だから発音しないということです。
原題は「ROBOJOX」のはずだったのですが、『ロボコップ』側からのクレームで「ROBOT JOX」に変更されました。
監督は、「But in my mind it will always be ROBOJOX.」(だが、わたしの中ではいつだってロボジョックスだ。)と語っています。

『ロボ・ジョックス』公開の1990年には、『ロボコップ2』も公開されています。
タイトルの「ロゴコップ2」は『ロボコップ』の第2弾という意味であるとともに、ロボコップ2号機という意味でもあると思われます。
ロボコップ2号機が暴れまわるのをフィル・ティペットのモデルアニメで描くモンスター・ムービーでした。モデルアニメのロボットが見たい人には、こちらもおすすめの映画です。

歌詞の引用とJASRACのFAQ

2004年 9月29日
更新 2016年 1月15日

この記事は、2004年に別サイトで書いた「歌詞の引用」を改題したものです。

ここで取り上げている「 歌詞は部分的な掲載であれば引用にあたるのでしょうか」は、2006年6月15日の時点ですでに消えています。以前存在したのは下記の場所です。
https://jasrac.e-srvc.com/cgi-bin/jasrac.cfg/php/enduser/std_adp.php?p_sid=CqRLkAmh&p_lva=&p_faqid=79&p_created=1047531351&p_sp=cF9zcmNoPSZwX2dyaWRzb3J0PSZwX3Jvd19jbnQ9MTMyJnBfcGFnZT0x&p_li=



 著作権法上の引用は、要件を満たせば、著作権者に無断で行うことができる。
 しかし、歌詞の引用は無断では行えないとする人も多い。
 行えないとする根拠としてJASRAC(日本音楽著作権協会)のFAQが挙げられることが多いので、ここでそれについて検討してみたい。

 『社団法人日本音楽著作権協会 JASRAC』のFAQにある「歌詞は部分的な掲載であれば引用にあたるのでしょうか」には、次のような説明がある。

質問
歌詞は部分的な掲載であれば引用にあたるのでしょうか

回答
部分的なご利用であってもその曲と特定できる形でのご掲載であれば、一般的には許諾が必要な利用となります。なお、著作権法上の「引用」に該当するかどうかは、これまでの判例に基づく要件などからケースごとの判断となります。論文、小説等著作物に、歌詞の一部分を使う必然性がある場合などは、直接お問い合わせください

 この説明は、どうもわかりにくい。回答だけを見るとそれほどわかりにくいわけではないが、質問とのつながりが変なのである。
 実は、JASRACのサイトには、以前、現在のものとは違ったFAQがあった。次はそちらを紹介してみよう。

 http://www.jasrac.or.jp/jhp/faq/a2.htmにあった「ホームページで音楽を利用する場合」というページには、
「Q1 インターネット上で音楽を使う場合、著作権上どんな法的根拠があるのですか?また楽曲の一部しか使用しませんが手続きは必要ですか?」
という質問があり、
「A 著作権法上の法的根拠について」では、次のように答えている。

また音楽を使用する時間の長短によって権利が制限されるわけではありません。 従ってインターネットでの著作物利用は、営利・非営利を問わず、また全部のでも一部の場合でも著作権の管理(保護)の対象となり手続きが必要となります。
 ただ、歌詞の引用については、著作権法第32条に定められた引用の要件を満していれば、自由に使うことが出来ます。これについては別途説明をご参照ください

 さらに、「Q4 歌詞を引用したいのですが?」に対するAでは、次のように答えている。

しかし著作権法第32条等に定められた引用の要件を満たす場合は著作者権者に対して断りは不要ですし、使用料も不要です。歌詞の引用について具体的な争いとなった判例は出ておりませんが、文芸・学術の分野で具体的な判例が出ていると思われますので、それらを参考にして下さい。

 このように、旧FAQでは、「断りは不要」「使用料も不要」と断言している。新FAQにくらべ、実に明快である。

 新FAQの文章を、旧FAQと比較しながら、一文ずつ見ていこう。

歌詞は部分的な掲載であれば引用にあたるのでしょうか

 この質問は、旧FAQのQ1とQ4を一つにしたものである。それによって、質問の意味がわかりにくくなるだけでなく、回答までわかりにくくなってしまっている。
 世の中には、短い転載であれば引用だと誤解している人もいる。だから、このような質問のしかたをする人もいるであろう。
 しかし、FAQというものは、実際の個別の質問に対する回答ではないのだから、もっとわかりやすい質問を設定できたはずである。旧FAQのようにふたつに分けたほうがわかりやすいし、ひとつにまとめるのならば、「歌詞は部分的な掲載であれば無断で行えるのでしょうか」として、「引用」という言葉は質問には含めないほうがわかりやすかったのではないだろうか。

部分的なご利用であってもその曲と特定できる形でのご掲載であれば、一般的には許諾が必要な利用となります。

 「引用にあたるのでしょうか」に対する答えなので、引用に許諾が必要だといっているようにも見える。
 しかし、「一般的には」という部分は、引用などの例外を除いては、という意味であろうから、旧FAQと同じように、「全部のでも一部の場合でも著作権の管理(保護)の対象となり手続きが必要となります」ということを述べたものだと思われる。
 質問文には「引用」という言葉をはさみこみながらも、ここでは「引用」という言葉を避けているために、わかりにくくなっている。

なお、著作権法上の「引用」に該当するかどうかは、これまでの判例に基づく要件などからケースごとの判断となります。

 旧FAQは、判例を「参考にして下さい」と、判断を引用者にゆだねている。
 それに対し、次の文章に「お問い合わせください」とあることもあって、判断の主体がJASRACであるというニュアンスを感じないでもない。
 とはいえ、この文章だけを単独で見るならば、あたりまえの一般論が書いてあるに過ぎない。
 新旧のFAQで最も違う点は、旧FAQにあった「引用の要件を満たす場合は」「断りは不要」「使用料も不要」という重要な点に、新FAQでふれていない点である。

論文、小説等著作物に、歌詞の一部分を使う必然性がある場合などは、直接お問い合わせください

 この内容は旧FAQには存在しない。
 前の文章のつながりからは、引用に該当するかどうかをJASRACが判断するために、問い合わせの義務があるとも読める。
 それだと著作権法上問題があるが、言葉を補って読むならば、「FAQでは一般論しか述べられませんので、ケースごとの回答が欲しい方は、直接お問い合わせください」ということであろうか。
 また、この文章には「引用」という言葉が無く、「使う」という表現がある。さらに、「必然性がある」の後に「など」という言葉も入っている。
 したがって、この文章は、引用だけでなく、転載全般について述べているとも読める。それであれば、問い合わせについて書いてあるのは当然ということになる。

 このように、新FAQは、旧FAQを、ひとまとめにして短くして極端にわかりにくくしたものといえる。
 なぜこのようになってしまったのかはわからない。引用が無断で行えることはわかっているが、なるべくその事をはっきりとは書きたくない、という気持ちがあったのかもしれない。
 世間には、引用と称した単なる無断転載が多い。引用は無断でできると書くことによって、単なる無断転載が増える危険性はある。JASRACとしては、そのような事態は避けたいであろう。
 しかし、このような、誤解を生む危険性の高い文章を公表するのは、フェアとはいえない。JASRACには、今一度のFAQ改訂を望みたい。
[追記] 現在はこのFAQは存在しません。


 上では二種類のFAQを比較したが、JASRACのサイトが1996年11月に開設されてからこれまでの間に、引用に関する説明は次の6ヶ所に存在した。内容によって四種類に分け、便宜上A、B、C、Pの記号をつけておく。Bのタイトルは「非商用配信に関するご質問への回答」、Pは「JASRAC PARK」の一部である。

A-1   http://www.jasrac.or.jp/jhp/faq/a2.htm
A-2 [archive] http://www.jasrac.or.jp/license/network/contents/faq/faqa.html
B-1 [archive] http://www.jasrac.or.jp/network/contents/hsfaq.htm
B-2   http://www.jasrac.or.jp/network/contents/hsfaq.html
C   https://jasrac.e-srvc.com/cgi-bin/jasrac.cfg/php/enduser/std_adp.php?p_sid=CqRLkAmh&p_lva=&p_faqid=79&p_created=1047531351&p_sp=cF9zcmNoPSZwX2dyaWRzb3J0PSZwX3Jvd19jbnQ9MTMyJnBfcGFnZT0x&p_li=
P   http://www.jasrac.or.jp/park/whats/whats_4.html

 A-2はA-1に近いものであり、B-1とB-2は、htmからhtmlへの変更である。
 それぞれのFAQが存在した期間は、次の表のようになる。青は存在したと思われる時期。水色は間接的証拠により、存在したと推定される時期。黒は、そのファイルは存在したと思われるが、内容が違う時期である。
 見ていただけるとわかるように、新しいFAQができると古いものがすぐに削除されるのではなく、期間がダブっている所に特徴がある。

  1996-97 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004
A-1                                                                                                                                                                                                    
A-2                                                                                                                                                                                                    
B-1・2                                                                                                                                                                                                    
C                                                                                                                                                                                                    
PARK                                                                                                                                                                                                    


 A-2は、基本的にはA-1と同じ内容なのだが、「使用料も不要です」の部分が削られるなど、微妙に内容が変わっている。
 Bの引用に関する説明は、次のようなものである。

Q どれくらいの長さまでだったら引用と認めてもらえますか?

A 著作権が働かなくなる引用(著作権法34条)に該当するかどうかは長さの問題ではありません。新たに創作された著作物の中に引用すべき著作物があって、そこにその著作物がある必然性があるかどうか等によって個別に判断されるものです。また公正な慣行に合致する必要もあります。 なお、判例がありますので、そちらの内容も書籍等でご確認ください。

 Bには、「なお、一部重複するところもありますが、F.A.Q.コーナーの内容もご覧ください。」とあり、A(F.A.Q.コーナー)の補足的な内容になっている。Aの補足としては妥当な内容であり、わかりにくくもない。
 しかし、Aが存在しなくなり、さらにCへと内容が変化することで、おかしなFAQが出来上がったわけである。BとCの質問は一見似ているが、Cの質問者が引用を明らかに誤解している設定になっている点に違いがある。

関連リンク

JASRACとの往復書簡 近況報告:旅と現代文学。
著作権コラム第六回 ルール無用の引用ルール
混沌の廃墟にて -247- この歌なんだっけ
著作権関連 歌詞投稿の問題点
『「歌詞の引用は著作権の侵害です」か?』
ドリーム小説関連サイト全般ヲチスレ その7
ドリーム小説関連サイト全般ヲチスレ その8
牧歌組合~耳コピとエロジャケ~活動休止のお知らせ以降
ブロードバンドコンテンツの普及に向けた権利面の課題とは
メディアの節穴: これ、「引用」じゃないんですか…あれ?
http://blog.hokkaido-np.co.jp/yone-b/archives/2007/04/post_16.html
benli: 時事の事件と歌詞の引用
はてなブックマーク - 歌詞の「引用」について、JASRACにメル凸した
意見は分かれるとはおもいますが、実は私もよくわからない
はてなの「著作物の無断転載を行っている記事に対する削除依頼」について

文化庁:歌詞の引用は、一節であっても引用が認められないと聞きましたが、本当ですか。
ACCS(コンピュータソフトウェア著作権協会):
 ホームページで文芸評論をやりたいのですが?(※下記参照
http://www.askaccs.ne.jp/kategorie/ans/ca036.html
 歌詞の引用について。
http://www.askaccs.ne.jp/kategorie/ans/ca163.html
 一小節なら引用?
http://www.askaccs.ne.jp/kategorie/ans/ca220.html
 小説の中で歌詞を引用する場合。
http://www.askaccs.ne.jp/kategorie/ans/ca315.html
 歌詞を全文引用したい。
http://www.askaccs.ne.jp/kategorie/ans/ca572.html
日本広報協会:依頼した原稿の中に、ヒット曲の歌詞が引用されていました。このまま広報紙やホームページに掲載してもかまわないのでしょうか?
YAMAHA:
 ケーススタディ>#6
http://www.music-eclub.com/lesson/koreshiri/case_06.php
 Q&A>#9
http://www.music-eclub.com/lesson/koreshiri/qa09.php

関連資料

『クリエイター・編集者のための引用ハンドブック』 太田出版 1998年
 谷井精之助 豊田きいち 北村行夫 原田文夫 宮田昇
 「短詩と歌詞の引用をめぐるいくつかのケース」 豊田きいち 69-74p
 「歌詞の引用の判断基準」 谷井精之助 原田文夫 219-220p

『Q&A引用・転載の実務と著作権法』 北村行夫 雪丸真吾 編 中央経済社 2005年
 ※歌詞の引用に関する解説はありません

「音楽著作権と出版 歌詞の引用をめぐって」 藤本由香里 (『言語生活』1987年11月号)



注意事項

引用の指針を必要としているかたへ

このページはJASRACのFAQの分析が中心です。実際に歌詞の引用をする場合の指針が必要なかたは、別の資料をお探しください。
引用は無断で行える行為ですが、そのためには引用の要件を満たしている必要があります。要件を満たしていなければ、著作権侵害となってしまいますので、注意が必要です。
要件の判断にはグレーゾーンがあります。引用する側が要件を満たしていると判断しても、著作権者が同じ判断をするとは限りません。著作権者の判断が常に正しいとは限りませんが、引用を行う場合、クレームがつく可能性は覚悟しておかなくてはいけません。
引用の要件の解説に関しては、書籍だと、『Q&A引用・転載の実務と著作権法』や『クリエイター・編集者のための引用ハンドブック』がよいのではないかと思います。

歌詞の引用について、小説などのフィクションにおける引用が議論されることがよくあります。
歌詞ではなく詩ですが、小説での掲載が引用と認められなかった『XO醤男と杏仁女』事件を紹介しておきます。
最近の著作権判例について[PDF] 22-24p
(『コピライト』 2005年2月号 23-25p)
東京地裁判決文[PDF]
東京高裁判決文[PDF]



日記

リンク切れの部分はURLの記載に変更しました。


2004年12月

■今月の歌詞の引用
日記の中に、紹介したいミュージシャンの歌詞を引用したいときは、必ずその著作権をもつ事務所(?)等に承諾してもらわなければならないのでしょうか?それとも引用の量によっては不要なのでしょうか?
はてなでの上記の質問の回答で、二名の方に、わたしの「歌詞の引用」を紹介して頂いていました。
歌詞の引用に関する著作権問題に興味を持って色々と調べたのは割と最近のことで、次の場所での議論がきっかけです。
Wikipedia:削除依頼 2004年7月 (2004年10月18日 (月) 23:36の版) *金本知憲 ノート
「歌詞の引用と著作権法」(上の続き。2005年までで公開停止)
http://taurus.kake.info.waseda.ac.jp/wikip/joyful/joyful.u.cgi?mode=res&no=2956
議論自体は、なかなか話がかみ合わず、議論というのは難しいものだと思いましたが、歌詞の引用について調べるきっかけとしては有意義だったかなと思います。

「Symantec@OKWeb歌詞は、著作権法上特別な地位を与えられているのですか?」
http://security.okweb.jp/kotaeru.php3?q=1031142
というページが、「この質問は削除されたかみつかりません」ということで見れなくなっていました。
『OKWeb』「禁止事項」http://okweb.jp/kinshi.htmlには、歌詞の掲載について、「※質問は20文字以内までであれば許容範囲として認めらる可能性はありますが、著作権法上は一切禁止とされております。」とあります。上記ページは、「20文字以内」などの謎の部分にツッコミを入れたものでした。
ツッコミといっても、穏健で建設的なものと思えたので、削除されたとすれば残念です。

                          2005年1月

■今月の歌詞の引用
『ASK ACCS』http://www.askaccs.ne.jp/が3年前に本になっているというのを今ごろ知って、少し読んでみました。
『知っておきたい情報モラルQ&A』(久保田裕・佐藤英雄 岩波アクティブ新書 岩波書店 2002年)という本です。
以下、歌詞の引用に関する部分の、サイトと本の内容を比較してみます。

『ASK ACCS』http://www.askaccs.ne.jp/
Q ホームページで文芸評論をやりたいのですが?
http://www.askaccs.ne.jp/kategorie/ans/ca036.html
という項があります(2000年3月)。
回答末尾の「相談室から一言」という部分は次のようになっています。

 歌詞を引用するにあたっては、(社)日本音楽著作権協会と(社)日本文芸家協会で、「1節以内」とする取り決めがあり、慣行となっているようです。このように「公正な慣行」については、法の規定だけを読んでもわかりませんので、著作権団体へ問い合わせるとよいでしょう。

この記述だと第三者もこの取り決めに拘束されるような誤解を生みます。
この件に関しては、加戸守行著『著作権法逐条講義』に、
「実務的な処理に関する両当事者間の合意であって、本項の解釈を左右するものではありません」
という説明があります。加戸氏は、現行著作権法の起草メンバーで、元JASRAC理事長です。

同じ部分が、二年後の『知っておきたい情報モラルQ&A』では、次のようになっています。

 歌詞を引用するにあたっては、日本音楽著作権協会と日本文芸家協会で、「一節以内」とする取り決めがあり、慣行となっているようです。著作権法には引用の分量について明示はなく、日本文芸家協会の会員外は、この取り決めに縛られることはありませんが、参考にはなるでしょう。

問題のある部分がちゃんと修正されています。
にもかかわらず、サイトの方はその後三年ほどたつ現在も修正されずにそのままなのは不思議です。

2006年2月

「権利」と「自由」
JASRACからの回答が途切れているため、すでに古い話題になりつつありますが、昨年11月、『牧歌組合~耳コピとエロジャケ~』における歌詞の引用が問題となりました。
わたしが興味を引かれたのは、「JASRACから返事が来た(2)」で紹介されているJASRACの返事にある、「「引用」はご利用になる方の権利ではなく」という部分です。このフレーズは、『「歌詞の引用は著作権の侵害です」か?』で紹介されているJASRACの回答にも、まったく同じものがあります。
JASRACは、歌詞の引用について旧FAQ(アーカイブ)
http://web.archive.org/web/20010212102040/http://www.jasrac.or.jp/jhp/faq/a2.htm
で、「引用の要件を満していれば、自由に使うことが出来ます」と述べています。では、「権利ではなく」というのは何を意味するのでしょうか?
「権利」という言葉の定義がポイントのような気がしたので、いろいろと調べてみると、平凡社の大百科と学研の百科事典にわかりやすい説明が載っていました。
法律用語の「権利」は日常用語の「権利」より意味が狭く、「自由」とは区別すべき概念のようです。したがって、「引用する権利がある」というのと「引用する自由がある」というのは、一見同じことを言っているようだけれど法律的には意味が違い、「権利」でないからといって「自由」がないとは限らないといえます。
JASRACのいう「権利ではなく」という表現は、法律的には間違っていないのかもしれませんが、「自由がない」と誤読されかねない点は問題だと思います。

『「歌詞の引用は著作権の侵害です」か?』で紹介されているJASRACの回答は大変興味深い内容なので、また別の機会に分析してみたいと思います。

2006年6月


[B面]犬にかぶらせろ!乃風 - 歌詞の「引用」は無断でやるのが当たり前
からリンクしていただいていました。
内容を読んではじめて知ったのですが、問題のFAQはすでになくなっていました。

2008年5月


「歌詞の「引用」について、JASRACにメル凸した」
http://www.ohmynews.co.jp/news/20070528/11531
意見は分かれるとはおもいますが、実は私もよくわからない
記事中に、「また、記事掲載前に、JASRACに検閲させたのかというお叱りがでるかもしれません。」とありますが、むしろ、JASRACにチェックを頼んだ点がこの記事のすばらしさだと思います。
歌詞の引用に関しては、JASRACのFAQが意図がわかりにくいものだったため混乱がありました。したがって、JASRACの公式見解をはっきりさせることに重要な意義があったわけです。


くうざん本を見るで知った「音楽著作権と出版 歌詞の引用をめぐって」を関連資料に追加しました。

2013年6月


はてなブックマーク - 抗議一切受け付けません いつの間にかJASRACの「引用」の定義が変更されていた件について
はてなブックマークで「歌詞の引用」へリンクしていただいていました。

「JASRAC PARK」のFAQと一般のFAQです。
「これ知ってる?」 著作権にまつわるギモン:ブログ(JASRAC PARK)
4小節程度であれば、「引用」としてJASRACに手続きをしなくても雑誌に掲載したりできると聞いたのですが。 | 一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)
https://secure.okbiz.okwave.jp/jasrac/EokpControl?&tid=200439&event=FE0006
以前http://www.jasrac.or.jp/jhp/faq/a2.htmにあった「断りは不要」「使用料も不要」というような表現はありませんが、十年ぶりくらいでやっとまともなFAQが復活していました。
[2015年追記]二番目のページは、若干表現を変えて次の場所へ移動していました。
4小節程度であれば、「引用」としてJASRACに手続きをしなくても歌詞や楽譜を雑誌に掲載したりできる | OKBiz

近年の流れは次のような感じです。歌詞の引用を一切認めないと誤読させるような問題のあるFAQを載せていたのは、2002年からの4年間ほどになります。
2002年? まともなFAQが消える
2002年  JASRACとの往復書簡 近況報告:旅と現代文学。
2005年  活動休止のお知らせ|牧歌組合~耳コピとエロジャケ~
2006年? 問題のあるFAQが消える
2007年  意見は分かれるとはおもいますが、実は私もよくわからない - 名前はまだ無い
2012年  まともな新しいFAQができる

2016年1月


はてなの「著作物の無断転載を行っている記事に対する削除依頼」について」を関連リンクに追加。
ツイッターを「はてな 歌詞」で検索すると、1月15日午後5時頃から、いくつもの報告ツイートが見つかります。中には、本人の文章ではなくコメント欄の書き込みが引っかかった例もあるようです。


b8270.hateblo.jp

12月6日は聖ニコラウスの日


ドイツ語のカッコよさを少し伝えようと思う。辞書の強さに気がそれちゃった - ノスケユウキは考える
こちらの記事によると、ドイツ語ではサンタクロースをヴァイナハツマンというそうです。

サンタクロースって聖ニコラウスが元になっていたと思うけど、ヴァイナハツマンってニコラウスっぽくないなあと疑問に思い調べてみました。

簡単にまとめると、宗教改革の影響で贈り物をする日が移動したが、ドイツでは聖ニコラウスはサンタクロースに変化して12月24日にプレゼントを配るのではなく、聖ニコラウスの日である12月6日の前日にプレゼントを配り、24日はヴァイナハツマンやクリストキントがプレゼントを配っているということのようです。

サンタにまつわるエトセトラ: ぷち
サンタクロース、クリストキント、ニコラウス
何で?サンタクロース人気が異常に低い町がドイツにあるらしい - withnews(ウィズニュース)
サンタクロース - Wikipedia
ミラのニコラオス - Wikipedia
XMAS SQUARE:クリスマスの歴史(19世紀前半)

12月6日が聖ニコラウスの日というのは、聖名祝日と呼ばれるものです。
日本で知られている聖名祝日には、2月14日の聖ウァレンティヌス(ヴァレンタイン)の日がありますが、カトリックでは1969年に聖名祝日ではなくなっているそうです。
聖名祝日 - Wikipedia
ウァレンティヌス - Wikipedia

チェブラーシカの第二話『ピオネールに入りたい』に、チェブラーシカの名前のお祝いという言葉が出てきます。
こちらのページによればロシア語では「Чебурашкины именины」で、именины(imeniny)が聖名祝日です。
imeninyとは - コトバンク
ロシア人の名前:名の日

恥をかくシーンが苦手という感情は、どのように語られてきたか


これまで2回、共感的羞恥に関して書きました。今回書くのは、2013年8月まではこの感情についてどのように語られてきたかという話です。

あの恥ずかしい気持ちには名前があった
「共感的羞恥」論文リスト

ツイッターを検索してみると、見つかった範囲内では2009年からぽつりぽつりと言及がありますが、それほど反応は得ていません。
なお、ツイッターでは、「共感的羞恥」は2010年に、「観察者羞恥」は2012年に使用例があります。

ツイッター以外を探してみると、次のようなページが見つかります。

2004年
会話が苦手な人のための「話し方」入門の106
スレッドのテーマにあまり関係なかったためか、ほとんど反応はありません。

2007年
【これは】恥ずかしがりや【病気?】
見つかった中では最古の専用スレッド。54レスで終了。

2009年
映画嫌いへのお勧めの映画および克服の仕方 - その他(映画) | 【OKWave】

2011年12月23-24日
このスレはご自由にお使いください 13の30-38
「もてない女(仮)」板の雑談スレッド。

2013年8月6日
テレビ等で誰かが失敗するシーンとかを見れない、自分が恥じかいてるような気持ちになる 鬼女と喪女
2年後にまとめられた、前記2011年スレッドの30-38。コメント数は96。
「ただのミスは大丈夫だけど、フラグ立てまくって失敗は見てられない。」(コメント60)などの、後にも出てくる意見が、この時点で出ています。「こういう感覚にも名前とかあるのかな?」(コメント46)というコメントもあります。
コメント欄はかなり盛り上がっているのですが、広く外部に知られることはありませんでした。
そして一ヵ月後に、次のページによって、この話題が広く語られるようになります。

2013年9月6日 アニメとかドラマにおける「恥をかくシーン」がすごく苦手 114レス
2013年9月9日  アニメとかドラマにおける「恥をかくシーン」がすごく苦手:ろぼ速VIP

b8270.hateblo.jp

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