あの恥ずかしい気持ちには名前があった
※10月22日以降に追記しています。
アニメとかドラマにおける「恥をかくシーン」がすごく苦手 | ログ速(未編集のログ)
2013年9月、2ちゃんねるに「アニメとかドラマにおける「恥をかくシーン」がすごく苦手」というスレッドがたちました。スレッド自体は114までで終わっているようですが、まとめサイトに取り上げられると多くの人の共感を呼んだようで、はてなブックマーク400以上、ツイート5000以上、コメント1000以上という反応を得ています。
これを読んで、外国ではどうなんだろうか、この感情は研究されているんだろうか、という二つの興味がわいたのですが、そのときは検索のとっかかりがなかったためそのままになっていました。
そして、半年ほどたった2014年3月に、次のページを読みました。
What thing does the English language not have a word for? : AskReddit(元スレ)
最初に紹介されているI_Am_Crake氏のコメントに、「オランダ語には「plaatsvervangende schaamte」っていうフレーズがあってこれは「身代わりの羞恥」って言う意味になる。」「他人がしでかしたことで自分には全く関係がないにもかかわらず自分が恥ずかしく思うようなこと」とあり、具体例として、『ミスタービーン』を見たときのことがあげられています。
というわけで手がかりはつかめたので後はひたすら検索です。
以下、見つけた英語ページを紹介します。結果としては、「英語に欠けている」ということはなく、逆にいくつもの表現があることがわかりました。たとえば次のような言葉があります。
Urban Dictionary: secondhand embarrassment
Urban Dictionary: vicarious embarrassment
redditのこちらのスレッドには、600をこえる書き込みがあります。
Does anyone here get vicarious embarrassment (embarrassment by proxy) when watching movies or television show? : AskWomen
こちらのページでは、この感情に関する研究が紹介されていました。ドイツとイギリスの研究者による2011年発表の研究です。
Why watching 'The Office' makes us cringe - The Body Odd
研究の概要はこちら。
Why We Feel Embarrassment for Other People’s Mistakes | FYI Living
詳しい内容はこちらです。
PLOS ONE: Your Flaws Are My Pain: Linking Empathy To Vicarious Embarrassment
そしてこちらは今年発表されたらしい研究です。
Reality TV and vicarious embarrassment: An fMRI study. - PubMed - NCBI
以上、英語ページを紹介しましたが、英語は得意じゃないのでちゃんとは読めていません。どなたかが詳しく解説してくださるのを期待します。
[10月22日以降の追記]
"恥をかくシーン"が苦手で探してたら海外では既に研究があるんだなぁ あの恥ずかしい気持ちには名前があった - 趣味は検索 https://t.co/T5oL7nybRG
— キュアアイカツおじさん (@katoyuu) 2015, 10月 21
恥をかくシーン見るといたたまれない気持ちになるの、海外ではvicarious embarrassmentとか呼ばれてるので日本でもないか探したら共感的羞恥とか観察者羞恥と呼ばれてた https://t.co/q8QAzspKxz https://t.co/woylxy4dk3
— キュアアイカツおじさん (@katoyuu) 2015, 10月 21
Togetterをきっかけとしたカトゆー(katoyuu)さんのツイートで、日本でも研究されていることがわかりました。そこからたどっていくと、かなり古い外国の研究が見つかります。
Empathic embarrassment : reactions to the embarrassment of another : Miller, Rowland S : Free Download & Streaming : Internet Archive
すでに紹介しているリンク先でも言及されていたのですが、英語が得意じゃないので見落としていました(追記:言及されていたのは同じ著者の別の論文のようです)。
この論文ではMiller氏は、「empathic embarrassment」という言葉を用いており、
日本心理学会第78回大会
こちらのページによれば、「共感的羞恥」と訳されています。
それに対して桑村幸恵氏は、「観察者羞恥」という用語を提唱しています。
↑この部分を書き直しました。ブコメで引用していただいているので、元の文も残しておきます。
「共感的羞恥」は、Miller氏が用いている用語「empathic embarrassment」の訳語ですが、桑村幸恵氏は、「共感性を媒介とし発生するものかどうか明らかではない」という理由で、「観察者羞恥」という用語を使っています(「なぜ、人の行為を見て恥ずかしくなるのか」)。
Empathic Embarrassment Accuracy in Autism Spectrum Disorder
共感的羞恥と自閉症の関連に関する研究らしいんですが、中身は読んでません。
Wenn ein anderer peinlich ist: Fremdschämen kann wehtun - n-tv.de
ドイツ語ページ。2011年の論文著者へのインタビューらしきページです。
fremdschämenという言葉は2009年には辞書に載っているようです。
single word request - How would you translate “fremdschämen”? - German Language Stack Exchange
fremdschämenという言葉は英語では何と言うのか?というページ。
ウィキペディアでは、次のページに若干の記述があります。
英語版 Shame - Wikipedia, the free encyclopedia
ドイツ語版 Schamgefühl – Wikipedia
オランダ語版 Schaamte - Wikipedia
ドイツ語ではfremdschämen、オランダ語ではplaatsvervangende schaamte、スペイン語ではverguenza ajenaと言うようです。
Vicarious embarrassment / second-hand embarrassment | WordReference Forums
「vicarious embarrassment」と「second-hand embarrassment」のどちらを使うか?というページ。
「second-hand embarrassment」は日本語だと「間接羞恥」みたいな感じでしょうか?
2011年の論文のエディターは九州大学の先生。詩人で神経学者。
Jan Lauwereyns - Wikipedia, the free encyclopedia
1975年の論文のようです。
An empirical analysis of vicarious embarrassment : a study of social interaction and emotion. (書籍, 1975) [WorldCat.org]