1977-78年の「サブカル」の用例

↑こちらに概要を載せていたものを記事にしました。


1978年発行の『読書戦争』(紀田順一郎 三一新書)に、「サブカルチャー」の略語「サブカル」の用例が見られます。
この用例は以前から一部では知られているようなので、新発見というわけではないんですが、知っている人が少ないようなので紹介しておきます。

以下、『読書戦争』の「サブカルチャー」と「サブカル」の用例を紹介しますが、細かくはチェックしていないので漏れがあるかもしれません。
なお、あとがきによれば「著者戦争」(80-103ページ)の初出は1977年だそうです。

p.19 サブカルチャー特有の
p.48 戦後のサブカルチャー人種
p.48 戦前サブカルチャー
p.110 サブカルチャーの特権
p.113 サブカルチャーはアメリカの方が二十年は先行していますので
p.113 サブカルチャー研究も批評も
p.113 サブカルチャーの最右翼

p.19 サブカル人種
p.21 サブカル的傾向
p.25 サブカルのヴァイブレーション
p.47 サブカル擁護のイデオローグ(見出し)
p.48 戦後のサブカル
p.52 サブカルの中に育ち
p.52 サブカルを足がかりにして
p.52 私が若いころのサブカル
p.57 いわゆるサブカルに属していて
p.57 サブカルのパイオニア
pp.91-92 H書房のようにミステリーやSFで稼ぎまくり、明らかにサブカルのチャンピオンのようになっている企業もあります
p.99 サブカル本
p.112 サブカル成立以前
p.112 サブカルのリーダー
p.112 急成長サブカル部門
p.122 サブカル少年
p.149 サブカル文化
p.200 サブカル本の洪水
p.253 サブカル系統の本
p.253 そのサブカルとも距離を置かざるを得なかった

後に「サブカル」は、単なる「サブカルチャー」の略語ではない独自の意味を持つようになります。
『読書戦争』の「サブカル」は、基本的には略語と受け取っていいのだと思いますが、略語だと考えると「サブカル文化」(p.149)は「サブカルチャー・カルチャー」なんですよね。



用例にH書房(早川書房)に関するものがありますが、紀田順一郎氏は、会合「一の日会」で知られるSFマガジン同好会の創設メンバーです。
一の日会 - Wikipedia

「失われた“異端者の栄光”」の項の内容を少し紹介します。
1970年代は、「SFの浸透と拡散」の時代であり、『未知との遭遇』や『スターウォーズ』が大ヒットした時代でした。

「昭和二十年代の日本においてSFやミステリを選ぶことは、勇気のいることでした。」(p.52)
「かつてのマイノリティとして、固有の、誰にも譲れない世界を死守しようとしたサブカルのパイオニアは、あまりの孤立性のゆえに、ひたすらマジョリティになることを夢見て、耐えてきました。」(p.57)