ダホメ王国の例の国旗は実在したのか?


この記事は、はっきりした結論がない上、身も蓋もなく夢もない内容です。あらかじめご了承ください。

さて、今回取り上げるのはこの国旗です。ネットでは何度も繰り返し話題になっています。

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ダホメ王国はこういう国です。
ダホメ王国 - Wikipedia

わたしがこの国旗を知ったのは、2014年の次の記事だったと思います。
ウィキペディアのおもしろい一文を探す - デイリーポータルZ
記事中に「これであってほしいのでそれ以上は調べてません。」とあるように、調べたら残念なことになりそうな気配が濃厚なのですが、そこをあえて調べてみます。

以前には、なんばりょうすけ氏が画像のソースに言及しています。
https://twitter.com/rna/status/431232476812288001

もう少し付け加えてまとめると、次のようになります。
ウィキペディア(ウィキメディア)のダホメ王国国旗画像には、2008年の画像Aと2012年の画像Bがあります。
File:Reino de Dahomey 1889.gif - Wikimedia Commons
File:Dahomey flag 1889.svg - Wikimedia Commons
画像Aは、『Flags of the World』の「Benin」に掲載されているもので、スペインのJaume Olle氏によるもの(1996年)。
ウィキメディアに画像Aをupした人物は、ほかにも多くの画像を上げているのですが、著作権侵害を指摘され削除警告を受けまくっています。
でも、Jaume Olle氏の画像に関しては、それ以前の2004年にウィキペディアとOlle氏との間で話がついているようです。
Benutzer:ALE!/Flaggen ? Wikipedia(ドイツ語・スペイン語)
画像Bは、画像Aをもとにした、ArnoldPlaton氏によるもの。
ゾウの目付きが、べつやくれいさんの絵みたいになっているのは、ArnoldPlaton氏のしわざです。

ちなみに、べつやくれいさんのツイートはこちら。
https://twitter.com/betsuyaku/status/422619448663486464

Jaume Olle氏は世界各地の旗画像を作成しており、石田三成の旗指物画像もあります。
Daimyo flags - Ohmi (Japan)

ウィキペディア・スペイン語版では、2016年7月に別の画像に差し替えられています。写実的なゾウです。
Diferencia entre revisiones de ≪Reino de Dahomey≫ - Wikipedia, la enciclopedia libre

ウィキペディア英語版では、画像の信頼性を疑問視する声があり、掲載されたり外されたりしています。
Talk:Dahomey - Wikipedia

画像Bに「Flag of the Kingdom of Dahomey (King Ghezo, 1889)」と説明があることに対し、ゲゾ王の在位(1818年-1858年)とのずれが指摘されています。

redditのスレッドや英語版のノート(トーク・ページ)では、画像Aの原典として、ゾウの旗を描いた絵画(版画?)が紹介されています(redditからのリンク先はこちら → 420_001.jpg)。
画像Aとはかなり違いがある絵なので、これが原典であるのならば、画像AとBは実際の旗とは別の独自の創作物と考えたほうがいいかもしれません。
また、この絵画が、実際の旗を正確に描写しているのかと言う問題もあります。
redditや英語版ノートでは、そもそも描かれている旗が国旗かどうかもはっきりしないということも書かれています。
www.reddit.com/r/vexillology/comments/19ufd5/flag_of_dahomey/
「Flag of Dahomey : vexillology」

もう少し詳しく調べたかったんですが、ここまでしか調べがつきませんでした。

「枕投げ」1960年代の用例


【11月24日追記】Googleブックス検索問題が解決していました。現在ではすべてのリンク先で検索結果が見れます。

一昨日書いたように、Googleブックスで検索できる情報が激減しています。
それに気付いたのは、先日、ブラウザのブックマークに溜め込んでいた「枕投げ」などの検索結果を見返したときです。
枕投げ関連では、大部分が該当の文章を見れなくなっていましたが、二件だけはなんとか見ることができたので、それを紹介したいと思います。

枕投げの歴史はよくわかっていません。用例探しとしては、飯間浩明氏のツイートを中心にまとめられた次のページがあります。
枕投げの歴史は謎です - Togetterまとめ
ただし、亀井麻美氏の次のツイートが収録されていません。
https://twitter.com/kameiasami/status/587210944712835072
https://twitter.com/kameiasami/status/587222552600186880

亀井氏のツイートでは、大正15年の用例として、「まくらをぶつゝけたり」「枕ぶつけの戦闘」が紹介されています。
どちらも行為としての枕投げの例で、「枕投げ」という言葉は使われていません。

以下、Googleブックスで見つけた用例を紹介します。

枕投げに関する、以前の検索結果の中では、かろうじて「しつけと道徳」と「教育」で用例が見れました。ただし、この二つも、見えたり見えなかったりで安定していません。

二つのページの用例は次のようなものです。
『しつけと道徳: 実行力を育てる』牛島義友 金子書房 1964年
29ページ「枕投げをして騒いでいた」
『教育』第16巻 第191~197号 国土社 1966年
62ページ「修学族行で枕投げを やって大いに騒ぎ」

現物を確認する必要がありますが、「枕投げ」という言葉は、1960年代までは遡れるようです。

二つのページ以外は該当部分の文章が見れなくなっていますが、ブックマークしていた検索結果を年代順にリンクしておきます。

桐蔭間語 - 森本角藏 - Google ブックス
検索語:"まくらが投げ" OR "マクラが投げ" OR "枕をなげ"
自由 - Google ブックス
検索語:"マクラ合戦"
しつけと道徳: 実行力を育てる - 牛島義友 - Google ブックス
検索語:"枕投げ"
Ky?iku kiroku jissen sensh? - Google ブックス
検索語:枕 OR まくら OR マクラ "修学旅行"
教育 - Google ブックス
検索語:"枕投げ"
エコノミスト - Google ブックス
検索語:枕 OR まくら OR マクラ "修学旅行"
いま学校で - Google ブックス
検索語:"まくらなげ" OR "まくら投げ"
町づくりの思想 - 西山夘三 - Google ブックス
検索語:"マクラなげ" OR "マクラ投げ"
Taish? Sh?wa ky?iku no tenn?sei ideorog? - Nobuyoshi Yamamoto, Toshihiko Konno - Google ブックス
検索語:"マクラなげ" OR "マクラ投げ"
Seikeisha ky?iku no shiry? to atsukaikata - Google ブックス
検索語:まくら OR マクラ OR 枕 "修学旅行" 
Ushio - Google ブックス
検索語:枕 OR まくら OR マクラ "修学旅行"
Yamanashi-ken hekichi ky?iku no hyakunen - Tsutomu Kumitani - Google ブックス
検索語:"まくらをなげ" OR "マクラをなげ" OR "まくらを投げ"
Jurisuto - Sakae Wagatsuma, Toshiyoshi Miyazawa - Google ブックス
検索語:まくら OR マクラ OR 枕 "修学旅行"
教育実践 - Google ブックス
検索語:まくら OR マクラ OR 枕 "修学旅行"
昭和十一年生まれ: 1936 - Kawade Shob? Shinsha. Hensh?bu, 河出書房新社. 編集部 - Google ブックス
検索語:枕 OR まくら OR マクラ "修学旅行"
独協百年 - 独協学園. 百年史編纂室 - Google ブックス
検索語:まくらぶつけ

b8270.hateblo.jp

Googleブックスで検索できる情報が激減している件


【11月24日追記】問題が解決していました。詳しくは次のリンク先(英語)を御覧ください。
Google Books search not working properly - books missing from search by content - Google プロダクト フォーラム


Googleの書籍検索サービスGoogleブックスで、以前は見れた情報が見れなくなっています。
ブラウザのブックマークに溜め込んでいた検索結果を先日見返したところ、半分以上が見れなくなっていました。激減です。

ツイッターでは地味に話題になっていました。
https://twitter.com/shomotsubugyo/status/793466898037866496
https://twitter.com/uakira2/status/792276215470055424
https://twitter.com/sushifactory/status/793570079103258625

壽堂 hisashi moriyama氏が紹介しているGoogle Search Help Forumのトピック(英語)はこちら。
Google Books search not working properly - books missing from search by content - Google プロダクト フォーラム

そこからさらにリンクされているのが10月18日と19日に立った次のトピック(英語)です。
Snippet View Issues - Google プロダクト フォーラム
Snippet View Problems - Google プロダクト フォーラム

上記リンク先に書かれているように、全体表示と限定プレビューのものは今でも表示されるが、スニペット(抜粋)表示だったものが(全てではないようですが)消えているという状態のようです。

不思議なのは次の例。検索結果が表示されたりされなかったり揺れています。
しつけと道徳: 実行力を育てる - 牛島義友 - Google ブックス
教育 - Google ブックス

次の例も不思議です。
検索結果が画像でちゃんと表示されるとともに、「"うはぐつ"に一致する結果はこの書籍内には見つかりませんでした」と表示されます。
神愁鬼哭: 革命奇談 - Google ブックス
世界遊戯法大全 - Google ブックス

無料で利用させてもらっているわけですし、著作権上の理由で該当部分を表示できないというのであればしかたありません(現在のところ理由は公表されていないようです)。
でも、できれば、検索語がどの本のどのページで使用されているのかだけでも表示があればありがたいのですが。

【追記】

google books: что произошло и что делать? - Игорь Петров
11月7日の記事(ロシア語・英語)

Dramatische Verschlechterung bei der Arbeit mit Google Books | Archivalia
Wie Google Books uns derzeit gewaltig in die Irre führt | Archivalia
上記ロシア語記事からリンクされている、10月13日の記事とその続き(ドイツ語)。

https://en.wikipedia.org/wiki/Talk:Google_Books#October_2016
ウィキペディア英語版のトークページ(ノート)では、10月19日に指摘があります。今のところ、記事には反映されていません。

「著作権上の理由で該当部分を表示できないというのであれば」と書いたのですが、裁判でスニペット表示が認められていました。
【判例解説】 Google Books訴訟 フェアユースを認めた控訴審判決 Authors Guild, Inc. v. Google, Inc., 804 F.3d 202(2d Cir. 2015)【月刊コピライト 2016年4月号掲載】 | 弁護士 増田雅史の記録帳

乳揺れアニメ史に関するメモ


2021年9月30日追記
わとそん氏が1963年の『仙人部落』と1928年の『Bright Lights』を紹介されています。
https://twitter.com/doctoruwatson/status/1441271625161183234
https://twitter.com/doctoruwatson/status/1442486462616784902

2020年11月9日更新

先週、ほうとうひろしさんが『Tokyo Woes』を紹介されていたので、「1945年に乳揺れ描写をしているという点でもアニメ史的に重要ですね」とリプライしてみたところ、数時間後には1940年代の【アニメにおける乳揺れ表現の歴史】という連続ツイートが出来上がっていました。
https://twitter.com/HiroshiHootoo/status/790962071206637570

去年「1945年の乳揺れアニメ「Tokyo Woes」」を書いたのですが、この機会にいくつか追記をしてみます。

Gainaxing - TV Tropes」の「Western Animation」の項の実例は大部分が削除されていました。
Mickey's Amateurs - The Encyclopedia of Disney Animated Shorts」の「Original Animator's Drafts」の項も削除されています。

前回の記事では『ミッキーのアマチュア合戦』(1937年)におけるクララ・クラックの乳揺れを紹介しました。
クララ・クラックは初登場の『ミッキーの芝居見物』(1934年)の時点から体全体が揺れていますが、『アマチュア合戦』では揺れ描写がさらに強くなっています。
『アマチュア合戦』の「Gainaxing - TV Tropes」での紹介文(現在は削除)を読み返し、動画を見返してみたところ、クララ・クラックは胸というより体全体が揺れているのに対し、クララベル・カウは微妙ですが胸が揺れているように見えました。

乳揺れの件でラルフ・バクシ監督作品が話題になる際、『フリッツ・ザ・キャット』 (1972年)、『ファイヤー&アイス』 (1983年)、『クールワールド』 (1992年)が挙げられることが多いと思うんですが、思いっきり揺れまくっているのは『クーンスキン』(1975年)です。

イタリアのテレビアニメ『La Linea』の番外編『La sexilinea』(1978年)に乳揺れ描写があります。男性キャラにおっぱいが描かれたシーンです。
La sexilinea (TV Short) - IMDb
La Linea (TV series) - Wikipedia

『旅のロボから』(2015年 沖浦啓之監督)
リアリズム系乳揺れ。技術の粋。

君の名は。』(2016年 新海誠監督)

『DAICON Ⅳ』より2年も早い!日本初(?)の乳揺れアニメ『おてんば宇宙人』 - 二速
こちらの記事の追記部分に出てくる『宇宙魔神ダイケンゴー』の件ですが、次のツイートによれば、第24話「星魔王の挑戦」(1979年2月1日)だということです。
https://twitter.com/kenken_yamata/status/591544877369856000

上記のほか、ネットで知った次の三本を観てみました。
『ブロッカー軍団IVマシーンブラスター』18話 1976年
『ブロッカー軍団IVマシーンブラスター』30話 1977年
『宇宙魔神ダイケンゴー』24話 1979年
観たのがかなり前で、ちゃんとメモも取らなかったので、以下、記憶で書きます。
マシーンブラスター30話とダイケンゴー24話は微妙です。
マシーンブラスター18話ではヘルクイーンの胸が揺れています。
腕を動かしたことで胸が揺れたような描写に思われますが、揺れた理由ははっきりとはわかりません。

乳揺れ表現創始者宮崎駿監督説
動きのリアリズムを突き詰めた結果揺れる、というのはありそうな話だとは思うんですが、はっきりとしたことはわかりません。
「死の翼アルバトロス」(1980年)のノーブラ(たぶん)巨乳アクションシーンという、ここで揺れずしていつ揺れるというシーンでも、明確な揺れは見つけきれませんでした。

https://twitter.com/ikuto_yamashita/status/679937168551227394
山下いくと氏のツイート。『どろろ』と乳揺れ。

ウィキペディアの「乳揺れ」の項は、10年前に一度削除されていますが、今年復活しています。
Wikipedia:削除依頼/乳揺れ - Wikipedia
乳揺れ - Wikipedia

『The Thief and the Cobbler』では、魔法使いのお婆さんのおっぱいが揺れまくってます。
監督のリチャード・ウィリアムズ氏が書いた『増補 アニメーターズ・サバイバルキット』には、乳揺れ作画の解説があり、太った男の腹肉揺れと並んで載っています。

増補 アニメーターズサバイバルキット

増補 アニメーターズサバイバルキット

 


https://twitter.com/pac_onaraseijin/status/837617869546389504
上記のツイートで1974年のコマーシャルが紹介されています。
担当したアニメーターはこちらのかただと思われます。
懐かしいキャラ、 | はしGOの絵日記もどき - 楽天ブログ

Confessions of A Breastimator on Vimeo
CONFESSIONS OF A BREASTIMATOR by Jisu Kim @ Brooklyn Film Festival
2016年。BREASTIMATOR(おっぱいアニメーター)が主役の短編アニメ。

大須のぶーちゃん ノンクレジット版ED
2019年。オス豚のおっぱいが揺れています。


b8270.hateblo.jp

他者の痛みに共感する「共感疼痛」


共感的羞恥(共感性羞恥)が話題になるとき、恥ずかしいシーンだけじゃなくて痛そうなシーンも苦手、という意見もよく見かけます。
そのような心理状態について、次のツイートで、「共感疼痛」という用語が紹介されていました。
https://twitter.com/kanrame/status/772401960242688000

そこで、「共感疼痛」で検索してみると、研究されていることがわかります。
ただし、この言葉での検索結果はごく少ないので、定着した用語ではないのかもしれません。

英語で何と言うのか調べてみると、ウィキペディア英語版には「pain empathy」の項がありました。
Pain empathy - Wikipedia

以下、研究を紹介する日本語ページと、豊橋技術科学大学と京都大学による共同研究の英語論文です。

こころ学 - 他人の痛みを感じる条件
痛みに共感する時、私たちは本当に痛みを感じている | sign
神経科学 共感を理解する | Science Signaling Japan by COSMO BIO
人はロボットにも共感する
人間はロボットの「痛み」に共感することができる | バイオの杜
他人の痛みは自分の痛み? 痛みを『共感』するメカニズム

Measuring empathy for human and robot hand pain using electroencephalography : Scientific Reports

英語はあまり得意ではないので読み飛ばしていたのですが、以前紹介した共感的羞恥の論文に、共感疼痛のことも書かれていました。リンク先の「Neural Correlates of Empathy for Others' Pain」の項です。ほかの論文の紹介もされています。
PLOS ONE: Your Flaws Are My Pain: Linking Empathy To Vicarious Embarrassment

「deaf」という言葉は使っても大丈夫らしい

リンク先の記事に、「聴覚障害」は英語で何と言うかという話がありました。それに関してブックマークコメントと記事コメント欄で少し書いたのですが、もう少し付け加えてまとめておきます。

www.watto.nagoya

上記記事のブコメで『セサミストリート』に触れているかたがいらっしゃいましたが、わたしも、『セサミストリート』で「deaf」という言葉が使われていたのが強く印象に残っています。今回「deaf」について調べてみる気になったのも、『セサミストリート』で使われているんだったら使っても大丈夫な言葉なんじゃないか?と思ったからです。

調べてみると、日本語のページでは、『英辞郎』に結構詳しい説明がありました。
「deaf」について、「この概念は、かつてhearing-impairedと言い換えられた。その時点ではdeafという語は不適切だと主張された。」と書かれています。
どのような立場の人が「不適切だと主張」したのかがはっきりしないのですが、ほかのページの情報によれば、当事者であるDeafコミュニティーは、早い時期から「hearing-impaired」という言い換えを受け入れてはいなかったようです。
ちなみに、「deaf」と違って「deaf-mute」は、現在「不適切な用語」です。
deafの意味・用例|英辞郎 on the WEB:アルク
hearing-impairedの意味・用例|英辞郎 on the WEB:アルク
deaf muteの意味・用例|英辞郎 on the WEB:アルク

Community and Culture - Frequently Asked Questions | National Association of the Deaf
全米ろう協会のFAQページです。各種用語の解説があります。

伊藤泰子「聞こえない人と呼ぶことは何が悪いか」(What’s wrong with the calling name “hearing-impaired”?)

Introduction to American Deaf Culture - Thomas K. Holcomb - Google ブックス
44ページの「Hearing-Impaired」の項に、この用語が作られたがDeafコミュニティーは受け入れなかったことが書かれています。

The Deaf Community in America: History in the Making - Melvia M. Nomeland, Ronald E. Nomeland - Google ブックス
74ページに、「hearing impaired」は1970年代には「politically correct term」だったと書かれています。

「共感的羞恥」は中国語では「尴尬症」(学術的には「共情性尴尬」)


日本では、去年から今年にかけて、共感的羞恥(共感性羞恥)という学術用語が広く知られるようになりました。「empathic embarrassment」の訳語です。
この感情については以前からネットで語られていましたが、「共感的羞恥」という用語は知られていませんでしたし、独自に名前がつけられることもありませんでした。

それに対し中国では、学術用語とは別に「尴尬症(尴尬恐惧症)」という名前が付いています。近年できたネット用語のようで、次の二つのページに説明があります(『人民中国』のコラム「流行語掲示板」では、ほかに、傲娇(ツンデレ)、反差萌(ギャップ萌え)、壁咚(壁ドン)なども取り上げています)。
尴尬症_人民中国
キーワードチャイナ 尴尬(gān gà) 決まりが悪い 気まずい - 娱乐日语 - japan.visitbeijing.com.cn

「尴尬症」とは別に、2014年のこちらの論文では、「Empathic Embarrassment」の訳語として「共情性尴尬」という言葉が使われています。
文章摘要信息--观点采择对共情性尴尬的影响:共情反应与尴尬类型的不同作用

次の記事では、重慶医科大学付属第一医院精神科の医師が、尴尬恐惧症(尴尬症)について、「学术上并不存在(学術上は存在しない)」と答えています。精神医学と心理学の守備範囲の違いもあるのかもしれませんが、「empathic embarrassment」という用語は、中国でもあまり知られていなかったようです。
尴尬恐惧症上身 别人出丑自己却感同身受-中新网

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