ドラマ『悦ちゃん』と原作改変

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ドラマ『悦ちゃん』第6回「変えられた歌詞」は、碌さんが作詞したパパママソングが原型を留めないほど改変され、碌さんと悦ちゃんが怒るという話でした。
セリフを紹介すると、次のような感じです。

碌さん「でも、それじゃ原型が」
城島「原型がどうかなんて聞き手には関係のないことです。それより今は、より伝わりやすく、より共感を得る歌詞に仕上げることが優先でしょ」
碌さん「ただ、あんまり気持ちのいいもんでは…」

悦ちゃん「ひと文字でも変えたら、そんなのパパママソングじゃないや!」


ドラマ『悦ちゃん』は、原作の原型をあまり留めないほど改変されているんですが、そのドラマの中で改変を否定するような展開になっているのには驚きました。

わたしは原作の『悦ちゃん』が大好きなので、できれば原作に近い形でドラマ化して欲しかったんですが、「原作がどうかなんて視聴者には関係のないこと」だし、原作の碌さんはかなりのボンクラで、ほぼ別人といえるほどに改変されたドラマ版の碌さんの方が「より共感を得る」のかもしれないからしかたないと思ってるんですけどね。

ところで、原作者の獅子文六は、原作改変に関してどのような考えを持っていたのか?
牧村健一郎『獅子文六の二つの昭和』では、飯沢匡対談集『遠近問答』を引用して、原作改変という「NHKの暴挙」を昭和天皇に「直訴」したというエピソードが紹介されています。文六先生にとって原作の大幅な改変は、「あんまり気持ちのいいもんでは」なかったようです

(獅子) そうしたら宮内庁長官の宇佐美さんがね、陛下は『信子とおばあちゃん』を見ていらっしゃいますよって。それならそういう話のほうがよかろうと思ってね、急にプランを変えて、そんな話をしたもんだから、つい、NHKの暴挙を直訴におよぶようなことになりましてね。
飯沢 原作無視のことですね
獅子 原作とちがうのかい、とおっしゃったので、なにもかもちがうんでございます、とお答えした。

 

悦ちゃん (ちくま文庫)

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獅子文六の二つの昭和 (朝日選書)

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