「そんな言葉は無い」という誤解

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先日、日経新聞記事審査部の次のツイートが、つっこまれまくっていました。


はてなブックマーク - 日経新聞 記事審査部(校閲担当)さんのツイート: "「パワーワード」は力強いことば、強烈な印象のあることばといった意味で、パワワと略されます。三省堂の「今年の新語2017」で

「パワワ」という略語は検索してもまったく見つからないという意見が結構あったのですが、念のために自分でも検索してみると、かなりの用例が見つかります。

"パワワ" until:2018-01-09 - Twitter検索

Googleで用例を探し当てられなかった人が結構いるようなんですが、新語の調査は日付を区切ったTwitter検索がおすすめです。

検索結果をブックマークコメントで紹介してみたんですが、はてなスターは多少いただけたものの、時間的に出遅れたためか、あまり情報を広めることはできませんでした。

日経新聞 記事審査部(校閲担当)さんのツイート: "「パワーワード」は力強いことば、強烈な印象のあることばといった意味で、パワワと略されます。三省堂の「今年の新語2017」で

「パワワ」をツイッターで検索してみると、使われてるのは事実のようです。https://twitter.com/search?f=tweets&vertical=default&q=%22%E3%83%91%E3%83%AF%E3%83%AF%22%20until%3A2018-01-09&src=typd&lang=ja / https://twitter.com/IIMA_Hiroaki/status/951510023103963136

2018/01/11 00:35

b.hatena.ne.jp


日経新聞のツイートは、意味の説明も用例も間違っていて、「パワワと略されます」の部分も「パワワと略されることもあります」とでも書くべきなので、つっこまれまくるのは当然なんですが、「パワワ」という言葉を捏造したというような批判は事実とは違うわけです。

1月12日には、元ネタである三省堂「今年の新語2017」選考委員の飯間浩明氏が、この件に関する一連のツイートを行い、「パワワ」が存在することを示しました。


これで「パワワ」という言葉が実在するという情報が広まるかと思ったんですが、びっくりするほど広まりません。飯間氏のフォロワー数は日経新聞記事審査部の倍以上なのに、該当ツイートのリツイート数は数十分の一です。
翌13日に飯間氏は次のようにツイートしています。



■シワシワネーム

ネットスラング「シワシワネーム」はいつごろから使われているのか?
日経といえば、以前こういうこともありました。
この件でも、説明に問題があるとは思いますが、日経が実在しない言葉を作ったわけではありません。

■ケアメン

「ケアメン」という言葉
これは日経以外の例です。テレビ局による造語ではないかと疑われていましたが、そうではなさそうでした。

■噴飯もの

言葉自体ではなく、用法が実在するかどうかが話題となることもあります。
これまでで一番驚いたのは、「噴飯もの」の用法に関する件です。

文化庁の平成24年度「国語に関する世論調査」では、「噴飯もの」という言葉について、「本来の意味ではない」「腹立たしくて仕方がないこと」を選んだ人が49.0%、「本来の意味である」「おかしくてたまらないこと」を選んだ人が19.7%でした。

はてなブックマーク - 「噴飯物」 正確な使用は20% NHKニュース

そのことを伝えるニュースに対し、「腹立たしくて仕方がないこと」という意味で使われているのは見たことが無いという人が結構いて、意外に感じました。

ちなみに、文化庁が「本来の意味」「本来の意味ではない」と表現しているのに対し、NHKニュースは、「正確な使用」「誤った意味」などと表現しています。また、NHKの「おかしくてたまらない」のイラストは、嘲笑ではなく愉快な笑いを思わせるものになっています。

「噴飯物」を青空文庫から用例をいくつか引いてみた。

怒っている用例が実在することは、当時から指摘されていましたが、2015年には文化庁のページでも、次のように解説されています。最初から、このような解説もあればよかったんですけどね。

「噴飯もの」は,「腹立たしいこと」か - 言葉のQ&A - 文化庁広報誌 ぶんかる

このように,実際の用法を拾っていくと,「噴飯」と表現される事柄は,軽蔑や怒りの対象になっている場合が多いのです。
 現代においては,落語や漫才などの芸が秀でていてとても面白いときに「いやあ,噴飯ものの芸だった。」ということは,まずありません。