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戦時下日本のアンゴラ兎

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アンゴラウサギの毛をむしりとるのはフランス式らしい
アンゴラウサギの毛をむしること自体には肯定的な意見が結構多い

アンゴラウサギの採毛に関する記事を二つ書いたのですが、日本のアンゴラウサギにも興味深い歴史があるので、戦時中のことを中心に簡単に紹介します。

日本における「アンゴラウサギ」飼育の現状」によれば、「昭和10年代に日本のアンゴラ養兎は,海軍と手を結んで世界有数の規模に大膨張したことがあった」が、1978年の段階ですでに、「今,日本のアンゴラ養兎は全く見る影もない.」という状態になっています。

Googleブックスの次の本(農林省畜産局編の『畜産発達史 本篇』だと思われます)には、「そのうちにアンゴラを飼育するものは国賊だと非難の声さえ耳にするようになり、兎毛皮確保に血眼の陸軍ににらまれ」という記述が見られます。海軍と手を結ぶまでにも、陸軍との対立など、紆余曲折があったようです。
Chikusan hattatsushi: Honpen - Japan. N?rinsh?. Chikusankyoku - Google ブックス

神戸新聞NEXTの記事によれば、毛の生産のピークは1942年です。
しかし、その少し前の昭和初期は、アンゴラウサギ飼育には困難な時代でした。
1934年の『時事新報』の記事には、「農林省では昭和六年九月十八日各府県に通牒を発し「アンゴラ兎は副業として飼育の価値なし」と本省の態度を闡明し、これが普及を極力弾圧して今日に及んだ」とあります。

戦時中にピークを迎えたのには、次のような理由があるようです。

  • 羊毛・羊毛製品の輸入制限
  • 純羊毛製品の製造禁止
  • 軍需品としての需要
  • 農家の経済的困窮による副業の必要性


1934年 行掛りを捨ててアンゴラ兎へ折紙 農林省遂に兜を脱ぐ
1937年 五百五十年の歴史 アンゴラ兎の盛衰
1952年 復刻版 岡山畜産便り第3巻第2号 昭和27年2月 畜産ニュース アンゴラについて
1978年 日本における「アンゴラウサギ」飼育の現状
2014年 神戸新聞NEXT|社会|幻のウサギ「日本アンゴラ」 繁殖に奮闘、六甲山牧場

日本アンゴラ - スタンピングルーム[ウサギ用語事典]
ワブ! @ ウィキ - 軍用兎
カイウサギ - Wikipedia
路傍便: 軍兎アンゴラ供養碑と蚕玉神社(駒ケ根市)

国立国会図書館デジタルコレクション - アンゴラ読本(1938年)

国会図書館デジタルコレクション - 養兎指導講習録(1939年)

兎毛皮は軍の防寒用として絶對に必要で、現在は海外に輸出することを禁止され、内地の兎毛皮全部を軍部に供給して居るが、まだ、その必要數を充すことが出來ぬので、大增産に力をそそいで居るのであります。

国立国会図書館デジタルコレクション - 時局農村の副業と工業(1939年)

而して其の需要は支那事變を契機として急激な增加を示すに至つた。即ち羊毛並びに羊毛製品の輸入が制限される一方、純羊毛製品の製造は一般に禁止され、其の製造は國産羊毛を以て自家用に供する場合及びアンゴラ兎毛を三割以上混用する場合に於てのみ許可されるに至つた關係から紡織界に於けるアンゴラ兎毛の需要は著しく增加した。


関連人物・企業

齋藤憲三 - Wikipedia
「コラム アンゴラ兎から生まれたTDK」(第2章 企業倫理規範 | 企業倫理綱領 | TDKについて | TDK株式会社
2勝99敗の男 齋藤憲三 - 放送作家村上信夫の不思議事件ファイル

石原莞爾 - Wikipedia
除隊する兵にアンゴラウサギを土産として持たせていたとのこと。

桐生悠々 - Wikipedia
『改訂アンゴラ讀本』の跋文を書いています。信濃毎日新聞を退社後、副業としてアンゴラ兎を飼育。