「そんな言葉は無い」という誤解


先日、日経新聞記事審査部の次のツイートが、つっこまれまくっていました。


はてなブックマーク - 日経新聞 記事審査部(校閲担当)さんのツイート: "「パワーワード」は力強いことば、強烈な印象のあることばといった意味で、パワワと略されます。三省堂の「今年の新語2017」で

「パワワ」という略語は検索してもまったく見つからないという意見が結構あったのですが、念のために自分でも検索してみると、かなりの用例が見つかります。

"パワワ" until:2018-01-09 - Twitter検索

Googleで用例を探し当てられなかった人が結構いるようなんですが、新語の調査は日付を区切ったTwitter検索がおすすめです。

検索結果をブックマークコメントで紹介してみたんですが、はてなスターは多少いただけたものの、時間的に出遅れたためか、あまり情報を広めることはできませんでした。

日経新聞 記事審査部(校閲担当)さんのツイート: "「パワーワード」は力強いことば、強烈な印象のあることばといった意味で、パワワと略されます。三省堂の「今年の新語2017」で

「パワワ」をツイッターで検索してみると、使われてるのは事実のようです。https://twitter.com/search?f=tweets&vertical=default&q=%22%E3%83%91%E3%83%AF%E3%83%AF%22%20until%3A2018-01-09&src=typd&lang=ja / https://twitter.com/IIMA_Hiroaki/status/951510023103963136

2018/01/11 00:35

b.hatena.ne.jp


日経新聞のツイートは、意味の説明も用例も間違っていて、「パワワと略されます」の部分も「パワワと略されることもあります」とでも書くべきなので、つっこまれまくるのは当然なんですが、「パワワ」という言葉を捏造したというような批判は事実とは違うわけです。

1月12日には、元ネタである三省堂「今年の新語2017」選考委員の飯間浩明氏が、この件に関する一連のツイートを行い、「パワワ」が存在することを示しました。


これで「パワワ」という言葉が実在するという情報が広まるかと思ったんですが、びっくりするほど広まりません。飯間氏のフォロワー数は日経新聞記事審査部の倍以上なのに、該当ツイートのリツイート数は数十分の一です。
翌13日に飯間氏は次のようにツイートしています。



■シワシワネーム

ネットスラング「シワシワネーム」はいつごろから使われているのか?
日経といえば、以前こういうこともありました。
この件でも、説明に問題があるとは思いますが、日経が実在しない言葉を作ったわけではありません。

■ケアメン

「ケアメン」という言葉
これは日経以外の例です。テレビ局による造語ではないかと疑われていましたが、そうではなさそうでした。

■噴飯もの

言葉自体ではなく、用法が実在するかどうかが話題となることもあります。
これまでで一番驚いたのは、「噴飯もの」の用法に関する件です。

文化庁の平成24年度「国語に関する世論調査」では、「噴飯もの」という言葉について、「本来の意味ではない」「腹立たしくて仕方がないこと」を選んだ人が49.0%、「本来の意味である」「おかしくてたまらないこと」を選んだ人が19.7%でした。

はてなブックマーク - 「噴飯物」 正確な使用は20% NHKニュース

そのことを伝えるニュースに対し、「腹立たしくて仕方がないこと」という意味で使われているのは見たことが無いという人が結構いて、意外に感じました。

ちなみに、文化庁が「本来の意味」「本来の意味ではない」と表現しているのに対し、NHKニュースは、「正確な使用」「誤った意味」などと表現しています。また、NHKの「おかしくてたまらない」のイラストは、嘲笑ではなく愉快な笑いを思わせるものになっています。

「噴飯物」を青空文庫から用例をいくつか引いてみた。

怒っている用例が実在することは、当時から指摘されていましたが、2015年には文化庁のページでも、次のように解説されています。最初から、このような解説もあればよかったんですけどね。

「噴飯もの」は,「腹立たしいこと」か - 言葉のQ&A - 文化庁広報誌 ぶんかる

このように,実際の用法を拾っていくと,「噴飯」と表現される事柄は,軽蔑や怒りの対象になっている場合が多いのです。
 現代においては,落語や漫才などの芸が秀でていてとても面白いときに「いやあ,噴飯ものの芸だった。」ということは,まずありません。

 

唐沢俊一氏の盗用事件 10年目のまとめ


先々月の10月に、2007年に起こった唐沢俊一氏の盗用事件が、ひさしぶりに話題になりました。
きっかけは、別件で唐沢氏と論争していた町山智浩氏が盗用事件に触れたことに対し、唐沢氏が連続ツイートで答えたことです。

唐沢氏のツイートは以下のものです。
https://twitter.com/cxp02120/status/923471555929128960から始まる22ツイート
https://twitter.com/cxp02120/status/923541859447717888から始まる11ツイート
https://twitter.com/cxp02120/status/923813351716564992から始まる8ツイート

ツリー表示されないツイートには次のものがあります。
https://twitter.com/cxp02120/status/923556075789418496
https://twitter.com/cxp02120/status/923559705519144960
https://twitter.com/cxp02120/status/923817143770030081
https://twitter.com/cxp02120/status/924190710839963649

今回のツイートでは、説明が以前より詳しくなっている部分もあったので、この機会にまとめておきます。

■どのような事件か?

唐沢氏の著書『新・UFO入門』に、ブログ『漫棚通信』の内容と類似した部分があり問題になりました。
『漫棚通信』にはこの事件に関する記事が多数ありますが、重要なのは以下の三記事です。

これは盗作とちゃうんかいっ: 漫棚通信ブログ版
これは盗作とちゃうんかいっ・決裂篇: 漫棚通信ブログ版
これは盗作とちゃうんかいっ・喧嘩上等篇: 漫棚通信ブログ版


■どの程度似ているのか?


上記リンク先の『漫棚通信』記事でも比較されていますが、下記リンク先の、ばるぼら氏によるページが、『漫棚通信』と『新・UFO入門』の文章を左右に配置し類似部分に色が付けてあるので見やすいと思います。
なお、比較されているのは、『新・UFO入門』の134ページ11行から136ページ8行まで(山川惣治氏のUFO体験談紹介)、136ページ15行から139ページ5行まで(『太陽の子サンナイン』紹介)と、『漫棚通信』の該当部分です。

ネット上の文章と酷似する『新・UFO入門 日本人は、なぜUFOを見なくなったのか』(唐沢俊一著)を巡って


■唐沢氏の当時の説明


5月30日のサイトの説明では、「当サイトの 紹介を大いに参考にさせていただいたことは事実ですし」と、参考にしたことは認めています。
ただし、それに続く「ある作品のストーリィを紹介するという性格上、参考にさせて いただいたサイトとの記述の非常な類似のあることも事実です」という部分は、同じストーリーを紹介するのだから当然似てしまうという理由で、コピー&ペーストは否定しているようにも受け取れます。

また、6月4日の日記にも、「ストーリィ紹介の部分なので、つい文章に、コピーと取られる類似性を持っていた。」と、コピーであることを否定するニュアンスの記述があります。

それに対し、8月1日の経緯説明では、「参考として手元にコピーし、メモしておいた漫棚通信氏のサイトの文章を、原稿執筆時、当方のケアレスで、ほぼそのままの形のものをペーストしてしまい」としています。

唐沢俊一ホームページ :: ニュース :: 新刊 :: 5月30日投稿
唐沢俊一ホームページ :: 日記 :: 2007年 :: 06月 :: 04日(月曜日)
唐沢俊一ホームページ :: ニュース :: 新刊 :: 8月1日投稿
唐沢俊一ホームページ :: ニュース :: イベント :: 8月3日投稿


■今回のツイート:「引用で処理」


当初は引用の予定ではないので、参考にする文章に「チェックのつもりで赤入れして」改変。
(若干改変した文章は、あとで完全に自分の文章に書き換える予定だったという意味でしょうか?)
 ↓
時間が足りなくなり、「引用で処理」することに方針転換。
引用ならば原文通りでなければならないが、「チェック訂正した部分の復元がなされないままにな」り、さらに「引用元明記失念」。

唐沢氏の説明に補足してまとめると、上記のような流れでしょうか。

引用としてまったく成り立っていないのは、原文を改変し、カギカッコでくくらず、出所明示が無いという、三つもの問題が重なっているからです。
ツイートの説明を信用し、唐沢氏に盗用の意図は無かったと見るにしても、うっかり出所明示を忘れてしまったというレベルの単純ミスではありません。
本人の意図はともかく、外部からは引用のつもりであると判断できる手がかりが何一つありません。その上に、原文改変も行われています。出所明示が無くても、せめてカギカッコだけでもあればよかったのですが。

上の一連のツイートように「大きな失敗」であることが書かれている説明に対し、下のツイートのような説明だと少し軽いような気がします。
また、『社会派くんがゆく! 復活編』(2007年)の「これを認めると、今後、単純な引用ミスをおかしただけの同業者が、これを前例とした相手に過大な謝罪を要求されるという事態を招きかねない。」(コピーをとっていたつもりだったんですが、見つからないので、『漫棚通信』の「喧嘩上等篇」より孫引き)というのは、かなり問題のある表現だと思います。


上で紹介した一連のツイートでは、自分でまとめるには時間が足りなくなったので「引用で処理」したという説明ですが、次のツイートには、「数ページのあらすじ紹介なら盗用するより自分でまとめた方が早く、盗用する理由がない」とあります。


■今回のツイート:「結果的に盗用になった」


唐沢氏が「結果的に盗用」と表現するのは始めて見ました。
「コピーと取られる類似性」「無断引用」「引用ミス」などではなく、当初から「結果的に盗用」と言っていれば、かなり印象は違っていたと思います。

■今回のツイート:漫棚通信氏との関係


このツイートには、「もとから先方とは感情的にいい関係ではありませんでしたから」とありますが、当時の文章には、「以前より漫棚通信氏のサイトのファンであった唐沢」とあります。
唐沢俊一ホームページ :: ニュース :: 新刊 :: 8月1日投稿


■唐沢氏と幻冬舎


唐沢氏が十分な謝罪ができなかったのは(唐沢氏としては十分謝罪しているという意識かもしれませんが)、唐沢氏だけの問題ではないようです。
今回のツイートを読んで唐沢氏に少し同情したのは、版元の幻冬舎が取った方針が(唐沢氏のツイートなどから間接的にわかるだけですが)、唐沢氏にとって得にならなかったのではないかと思える点です。

幻冬舎が唐沢氏のことを考えなかったと言いたいわけではありません。謝罪を抑え気味にするという姿勢は、裁判や金銭的解決に備えた法律面では妥当なのかもしれません。ケースや相手が違えば有効な場合も多いでしょう。

このケースは、金銭的にはそれほど大きな問題にはならないと思います。しかし、物書きのモラルの問題としては大きなものです。
謝罪を抑え気味にするという姿勢は、結局、唐沢氏の評判をかなり下げてしまいました。早い内に「結果的に盗用」を明確に認めて全面的に謝るというのが、唐沢氏にとっては正解だったんじゃないでしょうか。

【追記あり】『日本アニメーション映画クラシックス』の64作品中、15作品が年内で公開中止とのこと


【追記】3月12日に、調整中だった15作品が見れるようになっていました。



    *    *    *


日本アニメーション映画クラシックス
「日本アニメーション映画クラシックス」公開継続のお知らせ | 東京国立近代美術館

「2017年末までを目途に試験的に公開」されていた『日本アニメーション映画クラシックス』が公開継続されることになったのは、喜ばしいニュースです。ただし、残念ながら、64作品中「15作品については調整中のためご利用できなくなります」とのこと。

公開中止になるのは、山本早苗(9本)政岡憲三(2本)瀬尾光世(4本)の作品です。

山本早苗|作家紹介|日本アニメーション映画クラシックス
山本善次郎 - Wikipedia

政岡憲三|作家紹介|日本アニメーション映画クラシックス
政岡憲三 - Wikipedia

瀬尾光世|作家紹介|日本アニメーション映画クラシックス
瀬尾光世 - Wikipedia

15作品を全部を見るのは大変だという人は、とりあえず次の3作品を見るとよいかと思います。

難船ス物語第壱篇 猿ヶ嶋 1930年 原作 脚色:清水秀雄 漫画製作:政岡憲三

久しぶりに見たんですが、改めて見返すと、意外と暗い話です。
以下、ストーリーに言及するため文字色を白にします。
猿たちに育てられた少年が、尻尾がないことでからかわれ、暴力的な反撃をします。
セリフ字幕が少なく、動きで表現される部分が多いので、双方がどの程度悪質なのかはっきりわからない部分もあるんですが、主人公の椰子の実攻撃は相手が死にかねないレベルだし無差別攻撃だし、ちょっとひどいんじゃないかなあ。
でも、確かに猿のからかいはひどい。椰子の木から落ちた主人公の歩き方をマネする部分はかなり陰湿。
しかし、さらに遡ると、主人公のせいで猿の頭にコブができたのにヘラヘラしてるしなあ。

あひる陸戰隊 1940年 作画:瀬尾光世

以前見たときの印象は尻。久しぶりに見た今回の印象も尻。
冒頭、古いアニメにはよくある横スクロール演出から、ワンカットでカメラがグッと動き、ぷりっぷりのお尻をアオリでとらえます。
あと、歩き埃が部屋の中でも描かれているのが意外。でも、漫符と考えると不自然でもないのかな。

なまけぎつね 1941年 作画:山本早苗

和風の炎描写や変身空中戦など作画に力が入ってます。アリとキリギリス的な話なんですが、とにかく狐がクズ。怠け者などというレベルではありません。

「ヨシダアキラ」事件に関するメモ


取り上げるのはこの件です。

日本人を装っていたマーベル・コミックの新編集長が物議、本人が声明を発表 - Marvel Comics
日本人になりすましていたマーベルの新編集長 アメコミ界で賛否両論

日本語の情報が少ないので、英語ページを色々と読んでみました。
「文化の盗用」(cultural appropriation)に関してはよくわからないので、それ以外の点について簡単に情報と感想をメモしておきます。

英語記事で重要なのは、『Bleeding Cool』の記事と、『CBR』の2005年のインタビュー記事です。
New Marvel Comics EIC C.B. Cebulski Admits He Wrote As “Akira Yoshida” 13 Years Ago
Akira Yoshida: A Bullet For Marvel's Young Guns | CBR

わたしは、「文化の盗用」についてはよくわかりませんし、マンガ家などがフィクションの経歴を掲げるのもそれほど問題だとは思いません(ノンフィクション作品などで、当事者性が不可欠な場合は別ですが)。それでも、この件に関しては、いくつか気になる点があります。それは、多くの人がすでに指摘していることですが、次の三点です。

1. フィクションの経歴に他人を巻き込んでいるのではないか?
2. 仕事を得るのにフィクションの経歴を利用したのではないか?
3. マーベル社の規則に違反しているのではないか?


1. フィクションの経歴に他人を巻き込んでいるのではないか?

「ヨシダアキラ」のインタビュー記事では、水野良氏や麻宮騎亜氏と知り合いであることが述べられています。知り合いでない人物を勝手に知り合いだとしてしまったのなら問題があります。しかし、この部分がフィクションなのかどうかはっきりしません。
セブルスキー氏は、麻宮騎亜氏の作品や水野良氏原作作品の翻訳出版に関わっており、まったく縁が無いわけではありません。語られた経歴は基本フィクションなのですが、若干事実が混じっている可能性もあります。
Nadesico. Kia Asamiya, writer and artist. ; [translation by C. B. Cebulski & Noriko Furuhata] - Details - Trove
Record of Lodoss War: The Grey Witch (manga) - Anime News Network


2. 仕事を得るのにフィクションの経歴を利用したのではないか?

『Bleeding Cool』の記事には、マーベル社の重役から聞いた話として次のようなことが書かれており、ヨシダアキラは、単にストーリーが面白いということではなく、外国人だからこそ評価されていたらしいことがわかります。

This was surprising — Marvel executives I talked to at the time told me that Yoshida was a rarity. He was someone from non-English speaking country who could write well for an American audience — something Marvel had struggled with in the past when seeking authentic voices.


外国人だからこそ評価されたことをアファーマティブ・アクションと見る意見もありますが、マーベル社がヨシダアキラに求めていたのは、日本という異文化の「authentic voice」を作品作りに活かせる専門家ということではないでしょうか。それに、アファーマティブ・アクションであれば、外国人である日本人より日系アメリカ人を採用しそうですし。

日本人だからこそ評価される仕事を日本人を装って得たのだとすれば問題があります。
ただし、『CBR』のインタビュー記事は、すでにライターとして活躍している時期のものです。仕事を始める時点で日本人であることをアピールしたり出版社側の確認に嘘をついたりといったことがあったのかどうかはわかりませんでした。
仮に、ヨシダアキラというペンネームと作品の内容だけで本物の日本人だと判断したのだとしたら、判断した出版社のほうに問題があるような気もしますが、これは判断が分かれる点かもしれません。

セブルスキー氏の日本に関する知識に関して次の記事は、「日本は主要な五つの島から成り立っている(Japan is made up of five main islands)」といった「日本人のライターならしないような多くの間違い(a number of mistakes no Japanese writer would make)」について指摘しています。
Marvel Editor-in-Chief Admits He Used Japanese Pseudonym to Circumvent Company Policy | Hollywood Reporter

また、以前話題になった、店に入るウルヴァリンが「IRASHAIMASE」と言ってしまう作品が、セブルスキー氏の作品だったようです。もっとも、日本人ではないウルヴァリンが勘違いをしていると考えれば、必ずしも不自然ではありませんが。

ヨシダアキラ事件の記事で紹介されていた、当事者性が大きな問題となった架空の被爆者詩人アラキ・ヤスサダについて、関連ページをリンクしておきます。
アラキ・ヤスサダ - Wikipedia
創られた被爆者詩人アラキ・ヤスサダ 詩に真実は必要か
創られた被爆者詩人アラキ・ヤスサダをめぐる詩という言説(『日本近代文学』第70集


3. マーベル社の規則に違反しているのではないか?

マーベル社では、1980年代から編集者が自分の担当作品で作家になるのを禁じていました。担当外作品では禁じられていなかったので、編集者同士で仕事を回しあうことが行われ問題視されていました。編集者同士で仕事を回しあうことは、能力のある人に仕事が行かなくなるというクオリティーコントロールの面でも問題になっていたようです。
その後、担当外作品でも兼業が原則禁止されました(現在の規則については、よくわかりません)。認められる場合も原稿料は払われないことになっていました。

セブルスキー氏は、他社の作品でライター業を始めました。これも禁止されていたようです。
そして、作品を見た勤め先のマーベル社が、自社の社員だと気付かずに、ヨシダアキラ(セブルスキー氏)にライターの仕事を依頼し、セブルスキー氏は正体を明かさずにこれを受けてしまったのだそうです。
なお、セブルスキー氏は、一旦マーベル社を辞めたあと兼業できる別の契約で復帰したため、ヨシダアキラは消えることになったようです。

セブルスキー氏の場合、他社でしていた仕事を見てマーベル社から以来が来たということなので、発注した編集者がヨシダアキラの正体に気付いていなかったというのが事実なら、兼業禁止が本来目的としていた編集者同士の仕事の回しあいとは違います。
しかし、本来貰えないはずの原稿料を別人を装って受け取ってしまったということになるので、形の上では明らかに規則に反しています。
もっとも、規則に反しているといっても社内規則なので、マーベル社が許せばそれで終わりではあります。

ドラマ『悦ちゃん』と原作改変


ドラマ『悦ちゃん』第6回「変えられた歌詞」は、碌さんが作詞したパパママソングが原型を留めないほど改変され、碌さんと悦ちゃんが怒るという話でした。
セリフを紹介すると、次のような感じです。

碌さん「でも、それじゃ原型が」
城島「原型がどうかなんて聞き手には関係のないことです。それより今は、より伝わりやすく、より共感を得る歌詞に仕上げることが優先でしょ」
碌さん「ただ、あんまり気持ちのいいもんでは…」

悦ちゃん「ひと文字でも変えたら、そんなのパパママソングじゃないや!」


ドラマ『悦ちゃん』は、原作の原型をあまり留めないほど改変されているんですが、そのドラマの中で改変を否定するような展開になっているのには驚きました。

わたしは原作の『悦ちゃん』が大好きなので、できれば原作に近い形でドラマ化して欲しかったんですが、「原作がどうかなんて視聴者には関係のないこと」だし、原作の碌さんはかなりのボンクラで、ほぼ別人といえるほどに改変されたドラマ版の碌さんの方が「より共感を得る」のかもしれないからしかたないと思ってるんですけどね。

ところで、原作者の獅子文六は、原作改変に関してどのような考えを持っていたのか?
牧村健一郎『獅子文六の二つの昭和』では、飯沢匡対談集『遠近問答』を引用して、原作改変という「NHKの暴挙」を昭和天皇に「直訴」したというエピソードが紹介されています。文六先生にとって原作の大幅な改変は、「あんまり気持ちのいいもんでは」なかったようです

(獅子) そうしたら宮内庁長官の宇佐美さんがね、陛下は『信子とおばあちゃん』を見ていらっしゃいますよって。それならそういう話のほうがよかろうと思ってね、急にプランを変えて、そんな話をしたもんだから、つい、NHKの暴挙を直訴におよぶようなことになりましてね。
飯沢 原作無視のことですね
獅子 原作とちがうのかい、とおっしゃったので、なにもかもちがうんでございます、とお答えした。

 

悦ちゃん (ちくま文庫)

悦ちゃん (ちくま文庫)

 
獅子文六の二つの昭和 (朝日選書)

獅子文六の二つの昭和 (朝日選書)


 

 

 

『あさイチ』のウナギ特集は、かなり頑張っていたような気がします


先週の8月21日月曜日、NHK『あさイチ』で、ウナギ特集が組まれました。
特集の内容が気になって予約録画しておいたので、紹介してみたいと思います。

www1.nhk.or.jp


イノッチ「さあまずは、なぜか、今!、この特集です!」という言葉で特集がスタート。
有働さんは苦笑い的な笑顔で、「確かに」と合いの手を入れます。

「夏こそ食べたい!うなぎ」ということで、次のような内容が30分ほど続きます。

土用の丑の日を過ぎると値下げでお買い得だから食えー
スーパーのうなぎにひと工夫するとうまいから食えー
外国産うなぎでも大丈夫だから食えー
ビタミンB1が豊富だから食えー
意外と低カロリーだから食えー
うな丼に飽きても新レピシ紹介するから食えー

次に、「ここまで来た!養殖うなぎ」が5分ほど。
「ここまで来た!」といっても、完全養殖の話ではなく、養殖うなぎがおいしくなったという話です。

そして、やっと次のコーナーに移ります。
佐藤俊吉アナ「さあでは続いてガラッと雰囲気を変えますけれども」。
「これだけね食べてる日本人だからこそ知っておくべきということで」、ニホンウナギのう~ちゃん(声:野沢雅子さん)が、絶滅の危機を訴えます

9時からニュースで5分間中断する前に、有働さんが視聴者からのファックスを紹介します。
「ファックスでも「絶滅危惧種なのにこんなにテレビでやっていいんですか」とか、それから「スーパーでも安売りしてるしテレビでもやってるけどほんとに食べていなくなっちゃわないんでしょうか」っていう質問も来てるんですけど」。
うなづくさかなクンさんと、言われてはじめて気がついたという感じで、「あ!」と声を漏らす北斗晶さん。北斗さん不勉強だけどいい人っぽいな。
ところで、「さかなクンさん」って、ネット特有の呼び方だとばかり思ってたんですが、NHKでもさん付けするんですね。

ニュースをはさんで特集再開。
東京大学助教の黒木真理さんがう~ちゃんの質問に答えます。
「(うなぎが減った)一番の原因は、わたしたち人間が食べるためにうなぎをとりすぎてしまったことです。(中略)うなぎを増やす取り組みをしたり、あとは、漁業規制を強化していく必要があると思います。」
「う~ちゃん」という名前は、黒木さんとすがいひでかずさんの絵本『うなぎのうーちゃん だいぼうけん』から来ているのかもしれません。

うなぎのうーちゃん だいぼうけん (福音館の科学シリーズ)

うなぎのうーちゃん だいぼうけん (福音館の科学シリーズ)

 



絶滅危機の話と完全養殖の紹介などが20分ほどで、今回のウナギ特集は終了します。
ちなみに、さかなクンさんの発言「ハレの日とか特別な日に、いただきたいでギョざいますねえ」というのは、「日常的に食ってんじゃねーよボケ」にオブラートをかけまくった表現だと思われます。今回、ウナギ関係の本などを色々調べたのですが、「ウナギはハレの日に」というのは、ウナギ保護関連でよく使われる表現のようなのです。さかなクンさんは、当然そのことは知っているでしょう。

今回のウナギ特集は、前半がひどかったため、ツイッターでは悪評が目立ちましたが、細かく見ていくと、かなり頑張っていたような気がします。
なぜこのような構成になったのかはわかりませんが、上からの指示もしくは現場での意見対立がある中、ウナギの絶滅危機について真剣に考えているスタッフ・出演者が、出来る範囲内でなんとか情報をすべりこませたという感じでしょうか。

【追記】
9月3日にTBS系(製作はSBS(静岡放送))で、『なるほど!今うなぎが食べたくなるテレビ』が放送されたので、関連ページへリンクしておきます。

明日は午後4時からは、「なるほど!今うなぎが食べたくなるテレビ」放送です!!(・∀・)♥♥ | うっちーのとんじゃかないや

視聴室:なるほど!今うなぎが食べたくなるテレビ - 毎日新聞

テンプルちゃんの黒歴史「Baby Burlesks」


ドラマ『悦ちゃん』の第5話にテンプルちゃんの映像が出てきました。『Kid in Hollywood』という映画で「We Just Couldn't Say Goodbye」という曲を歌っているシーンのようです。

『Kid in Hollywood』は、「Baby Burlesks」という短編シリーズのひとつです。
シャーリー・テンプル - Wikipedia
Baby Burlesks - Wikipedia
Kid in Hollywood (1933) - IMDb

では、「Baby Burlesks」とはどのような作品なのか?
このシリーズの登場人物は、兵隊など大人の設定(とはいうものの酒場っぽい店で酒ではなくミルクを飲んだりしています)ですが、出演者は幼児たちです。男の子は半裸のオムツ姿、女の子も場合によってはトップレスになっています。
『War Babies』では、テンプルちゃんは肌もあらわな娼婦役で、ひとりの男の子とハグしながら、その肩越しにほかの男の子とキスするシーンがあります。
そんな作品なので、YouTubeのコメント欄では多くの人がpedophiliaと指摘しているようですが、削除はされていないので、YouTube側の判断としてはセーフということのようです
また、テンプルさんの自伝によると、作品内容以外にも問題があり、出演者が脅されて管理されているような状態だったとのこと(手元に本がないので記憶で書いてます)。

『悦ちゃん』の時代には、テンプルちゃんはもっとまともな作品に出演してブレイクしているので、なぜ『Kid in Hollywood』のシーンが映像として選ばれたのか不思議です。

あと、ウィキペディアに「児童ポルノ反対運動により、『労働基準法』への「シャーリー・テンプル修正条項」("Shirley Temple amendment" to the Wages and Hours Law)がアメリカ議会で成立した。」とあったので、詳しいことが知りたくて調べてみたのですが、わたしの英語力では調べがつきませんでした。どなたかが調べていただければありがたいです。